平成8年度の仕事

  --- 新しい「廃液の手引き」および吉田地区の下水道完備など ---

                     排水処理センター長 徳力 幹彦

 工学部の浮田先生に委員長をお願いして、新しい「廃液の手引き」を作成しており、この小冊子が皆様のお手元に届くころには、手引きがすでに配付されているはずです。現在使用していただいている「廃液の手引き」は、1984年に作成されたものです。この後、水質汚濁防止法には新たな有害物質が追加され、排出基準に関しても厳しさが加わってきていること、また、当センターの無機系廃液処理施設(従来の特殊排水処理施設)における無機系廃液の処理法が、中和凝集沈殿法から、より安全な処理が可能なフェライト法に変わったことなどから、新しい手引きの作成を決意した次第です。この新しい手引きを十分に活用されて、山口の環境の保全に対する当大学としての責務を果たしていただきたいと考えています。手引きを作るのに多大のご足労をいただいた浮田先生を始めとする委員の方々へは、ここに改めてお礼を述べさせていただきます。

 昨年は、重金属を収納するポリタンクに水銀が混入しており、新聞種にまでなったことを記憶しておられる先生方もおられると思います。当センターでは、直ちに、水銀の混入したポリタンクを廃棄処分にすると同時に、水銀測定機を購入して、各ポリタンクの検査を実施してきました。これまでの検査結果では、まだ、若干の重金属用ポリタンクから水銀が検出されていますが、当初のそれに比べると大幅に減っており、当センターでの重金属廃液の処理が可能になりました。今後とも、水銀混入液は、必ず、水銀用ポリタンクに収納するようにお願いします。昨年は、常盤地区でジクロロメタンやベンゼン等の有機溶媒が基準値を越えたときがありましたが、今年度は基準値以下を維持しています。ただ、残念なことに、吉田地区の実験洗浄排水を自動的にチェックするモニター室で、数回にわたって、排出基準値以下の低pH濃度が観察されました。幸いなことに、異常値が記録されるたびに、排水が自動的に切り替わって活性炭などのタンクを通過して処置されてから生活排水路に合流するようになっていますので、環境汚染にはいたっていませんが、各研究室とも実験洗浄液は必ずしかるべき廃液用ポリタンクに収納するようにお願いします。

 この6月に、吉田地区の公共下水道が完成して、生活排水は直接下水道に入ることになりました。ご存じのように、吉田地区の排水路は、実験洗浄排水、生活排水、および雨水の3系統に別れています。雨水排水路は直接九田川に流れますが、実験洗浄排水は、モニター室でpHのチェックを受けた後、生活排水路に合流し、活性汚泥法で処理された後、九田川に放流されていました。この生活排水路が直接下水道につながったわけです。これで、吉田地区も宇部地区と同様、やっと都会並になったというところです。問題は下水道の使用料です。この3月にならないと正確な値は出ませんが、これまでの活性汚泥法よりかなり費用が嵩むことは確かなようです。個々に処理するよりも、一括処理するほうが安くなるというのは世間の常識ですが、役所仕事にはこの常識が当てはまらないようです。

 昨年、当大学の規約を改正して、不用薬品の調査および学内斡旋業務を当センターが引受ることになりました。私達が考えている案は、前号で説明しましたように、学内LANを利用して、各研究室の不用薬品を当センターに登録してもらい、不用薬品を利用できる研究室はその一覧表から必要な薬品を選び、不用薬品を登録した研究室と直接交渉していただくというものです。残りの不用薬品は各学部で一括処理していただくことになります。現在、当センターへの光ファイバーの設置が遅れておりますが、9月には完成すると思われますので、当センターにLANが接続したら、不用薬品の調査・処理に関する具体案を皆様に提示するつもりです。

 私の気がかりは、当大学から排出される固形ゴミの処理、および有機物や有機溶媒の混入した無機系廃液の処理の問題です。前者は地方自治体との関係があり複雑ですが、後者は大学自体で処理可能な問題です。生物系の実験をされておられる先生方は、無機系廃液と有機系廃液の混合廃液の処理に困っておられると思います。当大学には、有機系廃液の処理施設がないため、これらの混合液の処理は今のところできません。無機系廃液と有機系廃液の処理施設を所有している大学が増えてきていますので、当大学でも、緊急に有機系廃液処理施設を作ってもらう必要があると考えています。