廃棄物処理の実績

                            工学部 浮田正夫   

 昨年度にひきつづき、平成8年度の山口大学の廃棄物処理の実績を吉田、小串、常盤の3キャンパスに分けて各用度係から資料をいただいてまとめてみた。年々、廃棄物処理をめぐる情勢は厳しくなり、廃棄物処理に要する費用も増大する傾向にあるので、費用についてもまとめている。表1は概略、山口大学が外部に処分委託をした廃棄物の量をまとめたものであるが、年間658トンにのぼる。うちその57%は可燃性ごみの焼却残査である。

表1 廃棄物委託処分量

地区 機器類 不燃ごみ 蛍光灯電池類 焼却残査 感染性廃棄物 不要薬品 合計
吉田 48 67 20 0 0.40 135
小串 104 206 5.7 0. 316
常盤 55 0.44 151 0 0.69 207
合 計 274.44 377 5.7 1 . 0 9 658

表2は同じく、処分費用の状況をまとめたものである。3キャンパス合わせて1029万円もの費用がかかっている。これらの費用が単なる処分委託費用か、あるいは清掃委託費用が計上されているかどうかは必ずしも明確ではない。また、本来の費用としては焼却炉などの減価償却費も見込む必要があるが、通常これは考慮されない。清掃委託費用には、収集費用と焼却処理やリサイクルのための前処理費用があるが、清掃委託費と処分委託費は分けて集計すべきであると思われる。

表2 廃棄物委託処分費用

地区 機器類 不燃ごみ 蛍光灯電池類 焼却残査 感染性廃棄物 不要薬品 合計
吉田 118 1,316 0 0 1,434
小串 937 1,857 754 1,329 4,877
常盤 2,985 0 997 3,982
合 計 7,213 754 2,326 10,293

参考までに、廃棄物の種類ごとにkgあたりの処分委託費を示すと、表3のようになる。現在では、仮に古紙として、紙を分別して業者にリサイクルを委託する場合でも、1kgあたり、5円の逆有償、すなわち処分委託料を取られることを基準にして、これらの処分費を考えればよい。不要薬品はとくに中味がわからないような場合があるので、1kgあたり1560円と非常に高い処分料になっている。蛍光灯や電池の処分費用は感染性廃棄物よりも高く付いている。

表3 委託処分のコスト (円/kg)

地区 機器類 不燃ごみ 感染性廃棄物 蛍光灯電池類 不要薬品
吉田 - 15 - - -
小串 2.5 9 132 293 1560
常盤 - 14 - - -

以下、各キャンパスの廃棄物処理の現状と、課題として認識されている点をまとめておく(表4〜表6)。吉田キャンパスでは可燃ごみ79.6トン、不燃ごみは焼却残査を含め135トンであり、処分委託費は合わせて、143万円となっている。廃棄物処理に関わる現状の課題としては

1.学内焼却による煙害対策(ダイオキシンの発生など)

2.パソコン、コンピュータのアウトプット紙の有効利用

3.廃棄試薬(ラベル紛失)の処理 が挙げられている。

小串キャンパスでは、不燃ごみは、可燃ごみの焼却残査206トンを含み、感染性医療廃棄物を除いて、310トンである。これらの委託処分費は279万円である。感染性医療廃棄物は5.7トンで75万円である。日常の管理委託費まで含めた年間の廃棄物処理経費は1425万円にものぼっている。廃棄物処理に関わる現状の課題として、焼却灰を業者委託して埋立地に搬入しているが、最近の状況からいって、処分地の確保が年々厳しくなっている。将来的には、独自の処分ルートを確立する必要がある。

常盤キャンパスでは可燃ごみの焼却残査151トンを含めて、不燃ごみが206トン排出され、その処分委託費は約300万円となっている。廃棄物処理に関わる現状の課題としては

1.焼却炉の老朽化により、黒煙が発生し、付近の住民から苦情がでている。

2.ダイオキシン対策(現状の施設、予算では対応できない)

3.外部から不燃物の持ち込みが見受けられる。

4.売店、自動販売機から出る空き缶の処理。 が挙げられている。

本年12月より小型焼却炉についてのダイオキシン規制が厳しくなり、大学においてもこれまでのように、安易に可燃性ごみを焼却することは社会的にゆるされないような状況になってきている。学内におけるごみの分別体制、処理、処分の合理的なシステムを急ぎ確立することが求められている。           (文責:浮田)

表4 吉田キャンパスの廃棄物処分状況

廃棄物の種類 処分方法 処分量 処分費
可燃ごみ
紙類
プラスチック類
その他
本学焼却場で焼却 79.6 トン -
不燃ごみ
機器類
空き缶、空き瓶
蛍光灯、電池類
電池類
廃棄物処理業者へ委託
不燃ごみ(機器類以外)
48 トン
67 トン
118,000
不燃物
塵 芥
焼却残査 20 トン 1,315,880
67+20t分
感染性医療廃棄物 - - -
不要薬品 排水処理センターへ持ち込み 400 kg -

表5 小串キャンパスの廃棄物処分状況

廃棄物の種類 処分方法 処分量 処分費
可燃ごみ
紙類
プラスチック類
その他
院内で焼却し、残査については業者委託 - -
不燃ごみ
機器類
空き缶、空き瓶
蛍光灯
電池類
業者委託処理貯蔵 104トン 937,300
不燃物
塵 芥
上記焼却残査 206トン 1,856,575
感染性医療廃棄物 業者委託 5,699 kg 753,977
不要薬品 収集運搬及び処分業者に委託 - 1,329,340

表6 常盤キャンパスの廃棄物処分状況

廃棄物の種類 処分方法 処分量 処分費
可燃ごみ
紙類
プラスチック類
その他
場内焼却炉で焼却
業者委託(宇部市環境保全センターへ)
場内焼却炉で焼却
- -
不燃ごみ
機器類
空き缶
空き瓶
蛍光灯、電池類
業者委託
運搬(宇部市環境保全センへ)
同 上
同 上
運搬・破砕・焼却・埋立
440 kg 129,000
2,856,000
不燃物
塵 芥
- 55 トン
151 トン
感染性医療廃棄物 - - -
不要薬品 業者委託(還元・中和・ろ過・焼却) 640 kg 997,000

工学部分別収集前の廃棄物集積場(平成9年3月)

    小串地区の廃棄物集積場付近

   吉田地区廃棄物集積場