大学等廃棄物処理施設協議会報告
排水処理センター 藤原 勇
第15回大学等廃棄物処理施設協議会総会・研修会
日 時 平成9年11月13日、14日
場 所 東京工業大学百年記念会館3Fフェライト記念会議室
11月13日
開会の挨拶 大学等廃棄物処理施設協議会会長 高月 紘
総 会
平成8年度事業報告,決算報告,監査報告
平成9年事業計画、予算案審議
技術賞受賞講演
教育大学における実験廃水への取り組み
宮城教育大学教育学部理科教育講座 三品 佳子
関西医科大学における排水処理施設設置の経過と課題
関西医科大学施設部施設管理係 浜本 健児
特定施設の維持管理に携わって 姫路工業大学環境保全室 市川 良夫
新潟大学廃棄物処理施設の概要 新潟大学廃棄物処理施設 大泉 学
山形大学廃液処理施設の課題 山形大学廃液処理施設 菅野 幸治
研修会
挨 拶 文部省文教施設部指導課 防災調整係長 岩阪 豊
挨 拶 東京工業大学学部長 蕗田
特別講演
廃棄物処理施設に関するダイオキシン対策について
厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課課長補佐 坂川 努
討 論 大学等における有機廃液消却施設のダイオキシン対策を考える
懇親会 百年記念会館3Fフェライト記念会議室
11月14日
一般講演
1.長崎大学における有機系廃液の処理
日本環境エンジニアリング(株) 城 義信
2.ICP-AES/ICP-MSによるフライアッシュ試料の多元素分析
名古屋大学 藤森 英治
3.バナジウムの亜急性毒性に関する研究 神戸薬科大学 足立 昌子
4.還元性特殊鉄粉法によるセレン酸塩の除去 岡山大学 田中 雅邦
特別講演
東京工業大学工学部における廃棄物管理の状況
「分別と管理ー実行可能な合理的システム」 工学部等第2用度掛長 大谷 正義
「大学における廃棄物の現状と課題」 経理課第2用度掛長 佐々木弘司
フリーディスカッション 「本会議の役割をいかに実施するか」
プロセス部会報告 大学等廃棄物処理施設協議会理事 立本 英機
第4回アジア地域国際シンポジウム準備状況報告 名古屋大学工学部 原口 紘
挨 拶 大学等廃棄物処理施設協議会副会長 松島 肇
見学会 東京工業大学実験廃液処理施設及び集積場所(大岡山キャンパスツアー)
まず、文部省文教施設部係長の挨拶において,廃棄物の適正な処理は国民レベルで考える必要があり,大学の廃棄物に対する取り組みをさらに生活環境を保全するようにしていかなければならない.またこれからは地球規模の環境問題について取り組まなければならない,という言葉から始まった。今回の協議会の話題から2つ項目をあげてみる.
一つはダイオキシンの問題である.廃棄物処理を行う上で焼却は,大変有用な処理方法の一つである.大学で発生する可燃性の破棄物は大学内で焼却処分されているところは多い.また,有機系廃液を処理しているところには焼却炉があり,燃焼により処理している.これらから,発生するダイオキシンの量がどのくらいあるかが話題となった.全国の大学のうち京都大学以外はまだこの時点では焼却炉のダイオキシンの濃度を測定していなかった.これから予算を確保して測定して行くことになる.京都大学のデーターは,有機系廃液処理施設からのダイオキシン濃度は80
ng-TEQ / Nm3以下であり.基準以下である.しかし,大学としては一番厳しい基準を満足する運転を行って行くべきであることが指摘された.
一方,京都大学の一般ごみを燃やす焼却炉のダイオキシン濃度は200 ng /
Nm3ある.こちらの方は改善する必要がある.改善の方法として,炉の温度を上げること(炉の温度が800度以上,滞留時間2秒以上保つ),冷却温度のコントロールおよび炉の酸素を多くすると一酸化炭素濃度が低く押さえられる,ことによりダイオキシン濃度が減少すると考えられている.また,ダイオキシンの発生量は一炭化酸素の量と比例関係があると考えられる.従って一酸化炭素をモニターする事により,ダイオキシンの発生量がモニターできると考えられる.今後焼却施設には,一酸化炭素のモニター及び温度モニターを取付する対策をとるようする.ダイオキシンの測定は年1回以上行うことになると費用が掛かりすぎることから,燃焼状況をモニターすることによりダイオキシンの発生状況が間接的にわかり排出量を抑制することができる.
また,有害物質としてはダイオキシンだけではなく,ダイオキシンと同じくらい人体に有害な物質としてPCBの誘導体も考えられる.しかし,毒性についてはよくわかっていない.このように,これから先,今まで考えていなかった物質が大変人体に有害物質であることがある時に規制されるので,これらも今後十分対応できるようにしていかなければならない体制も必要であることが指摘された.
もう一つはごみ問題についてである.今回が東京工業大学であったことより東工大のごみ問題についての話題である.東工大では,主に工学部であることより他の大学とは少し様子の異なる所もあるが参考になる点も多いと思った.まず,学内のごみの分別表をつくった,これは東京都清掃条例を基にしている.学内には焼却炉は廃止された.ごみはすべて分別回収される.ごみの集積場は週1回に可燃物以外のものは回収している.缶,瓶を回収した後,翌日には都のリサイクル業者に引き取ってもらうことになっている.従って,集積場にはいつもきれいな状態である.これがうまく回収する一つの策である.試薬をいれた瓶は必ず中を洗って,瓶として出すことになっている.廃棄物の回収は必ず用度係のものが立ち会いの基,集積場に持ち込むようにさせている.このとき廃棄物処理伝票を記入することになっている.ちなみに薬品は液体の状態では廃液処理施設に持ち込むようになっているが,固形の薬品は固形廃棄物として集積場に持ち込むことになる.備品の廃棄は月1回行う.これだけの廃棄物の回収システムを作り上げたのは7年前からであり,ノウハウの蓄積もあると考えら
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東工大の廃棄物の回収は,山口大学のごみ分別収集の仕方に大いに参考になると思う.ただ,大学のおかれた場所が東工大は東京都でり,山口大学は山口市である.行政区が異なるため大学の回りを取り囲む地域性も出てくると思う.山口大学では,工学部が昨年から,吉田地区は今年度から始まった.はたしてうかくいくであろうか?
第l 4回 廃棄物処理技術分科会
日時 平成10年7月23日-24日
場所 名古屋大学シンポジオン
7月23日
あいさつ 大学等廃棄物処理施設協議会会長 高月 紘
文部省大臣官房文教施設部 指導課専門員 梶川 勇
特別講演
「資源循環社会のための諸原則について」 紙野 健二
一般講演
「岡山大学における廃液処理体制一排出者責任と自営処理」
岡山大学 香川晴美、田中雅邦、藤本教尊、井勝久喜、本水昌二
「長崎大学におけるダイオキシン類分析結果」
長崎大学 石橋康弘、田平泰広
日本電気環境エンジニアリング 城 義信
「プラズマ分光法による焼却灰試料および溶出液の多元素分析」
名古屋大学 藤森 英治、浅井 勝一、千葉 光一、原口 紘
「不明試薬分析システムの構築」
日本電気環境エンジニアリング 神田 浩治、山田 剛志
東京大学 鈴木 良實
「有機廃液処理装置の昇温時における2,3の検討」
京都大学 真島 敏行、高月 紘
懇親会
7月24日(金)
特別講演
「トョタ自動車における環境・廃棄物対策の現状と将来」
トヨク自動車(株)プラントエンジニアリング部 近藤 元博、横山 史華
展望講演
「名古屋大学科学物質学内管理システム」
名古屋大学廃棄物処理施設 千葉 光一
「排水中の微量溶剤の回収除去技術及び装置」
日本リファイン(株)劉 芳芝、会田千津子、川瀬泰人
部会報告
あいさつ 大学等廃棄物処理施設協議会副会長 浜松医科大学 松島 肇
見学会 名古屋市環境事務局 新南陽工場
世間ではダイオキシンや環境ホルモンといった環境の話題が新聞,雑誌をにぎわしている中行われた.いくつかの話の中から,印象に残ったものについて少し述べてみる.
昨年度から注目されている,ダイオキシンの発生に量について,長崎大学からの発表があった.長崎大学の有機系廃液処理装置(小規模施設:1時間あたりの処理能力が200kg未満)から出る排ガス中のダイオキシン濃度は0.18ng-TEQ/Nm3であった.これは焼却炉の基準である1ng-TEQ/Nm3に比べて,十分低い値である.今のところこれで,規制値は達成しているが,これからますます規制が厳しくなること,また大学として環境への負荷を考えるときもっと減らす方向で運転または装置の改善を行っていく方針であることを聞いた.その後,いくつかの大学の焼却施設(主に有機系廃液処理施設)のダイオキシンの測定結果をもらった.これを見ると現在の基準値は達成している.しかし今後基準値が厳しくなったときや,装置が老朽化したときは装置について考えることになるであろう.
大学の廃液処理体制について:岡山大学は廃液に対してマニフェスト制を敷いている.岡山大学は廃液を取り扱うところを環境管理センターと呼ぶ.ここでは,有機廃液,無機廃液及び写真廃液についてマニフェストが適用される.これらの実験系廃液の発生源者が学内マニフェストを交付し,その管理部局および発生源者および管理部局に報告し,各部局にあたっては実験系廃液の発生量の把握,発生源者にあたっては排出者としての責任をはたす.この制度は,今までの廃液カードをマニフェスト制にしたものである.廃液カードを出すまでは,今までと同じであるが,処理の後,処理したというマニフェストが発生源者に帰ってくるところが新しく違う点である.これは,事業所が産業廃棄物を処理してもらう時に,産廃業者にマニフェストをきるのに似ている.これの大学内版であると考えたらよいと思う.岡山大学ではまだこの制度をして,時間があまり経過していないので運用時の問題点については,これから発生するのではないかと,言われている.しかし,廃棄物の発生者が処理されたという確認ができるので,廃液を出す人に対しての教育的効果が表れると思われる.
不明試薬分析システムの構築について:東京大学では,不要となった試薬を廃棄試薬として回収処理している.これらの内の不明薬品を適正に処理することを目的とした分析システムについての話である.
分析には機器分析を主体として固体試薬はFT-IR, 蛍光X線,X線回析,TG,DSC,燃焼試験,GC−MS,液体試薬ならpH,湿式分析等々である.今回の分析結果は,固体62本,液体60本の不明薬品を行い固体の場合FT-IRで19%,蛍光X線で84%,x線回折を用いて95%燃焼試験で98%まで同定できる.液体の場合,FT−IRまたは湿式分析で83%,ICPまたは蛍光X線で97%まで同定できる.これら不明薬品を取り扱いに注意しなければならないことは当然である.とても根気の必要な仕事であり,1日平均3本の試薬が分析でき,2週間で80本の試薬が分析できたという.これらの分析をするには,装置が必要なこと,また分析には人や時間がかかることから,それなりの大学でしかできないことと思える.
トヨタ自動車における環境・廃棄物対策の現状と将来:名古屋はトヨタのお膝下である.地方で開催されることもあり,地元の企業の廃棄物対策についての講演はトヨタ自動車であった.自動車のリサイクル対策について,改めて資料をみてかなり進んでいることがわかった.地球温暖化のためのCO2削減については,京都会議で決まったことから少しはマスコミから情報は入るが,自動車の廃棄物の排出抑制,リサイクルの流れについては資料をみせてもらってかなり進んでいることがわかった.具体的に使用済みの車両は重量比で75%が資源として有効利用される.エンジン,トランスミッション,タイヤ,バッテリー,触媒はリサイクル会社で取り外され再利用される.残ったボディーはシュレッダー会社で鉄,非鉄金属を回収し,再資源が困難な樹脂などのダストが焼く10ー25%発生する.このダストの発生を最小化するためのリサイクルしやすい材料のサイクルシステムの構築を行っている.西暦2000年には90%リサイクル可能な車作りをめざしているそうであり,これらの努力には目を見張るものがあった.