子 供 た ち の 環 境 問 題 へ の チ ャ レ ン ジ
山口大学教育学部附属山口小学校 多賀谷克己
21世紀の到来を目前にして新たな教育活動が求められている。本校では昨年度より総合学習を学校創意の時間に実施している。従来の教育は子供の発達段階に応じた一定期間に指導すべき内容が厳然と定められておりややもすると細切れ、詰め込みの感が否めない活動が展開されていた。総合学習は本校なりの新たな発想から生み出された教育活動であり挑戦である。総合学習は子供が本来持ち合わせている、自ら学ぶ意欲、学ぶ力を最大限に発揮させることが期待できる学習である。また、現代社会がかかえている今日的課題である環境問題、国際問題、人権問題にも憶することなく対処していける人材の育成を期待することのできる学習である。また、この総合学習は子供がこれまでに各教科、道徳、特別活動の各教育活動を通して学んできた事柄を総合化し、実際の生活に生きて働く力を身に付けていく、まさに自己の確立を目指す新たな教育活動ということができよう。平成14年度から完全実施となる新学習指導要領下の教育では各教科の厳選された内容の指導とともに大きな目玉となるものである。
1学期の実践をここで紹介したい。特に環境保全にかかわる内容として、総合学習環境領域の6年生『環境メッセージ「守れみんなの地球」を発信しよう』全30時間の実践である。子供たちは学校で毎週この時間がくるのを楽しみにしていた。以下は活動例である。
商店街でインタビュ−する子供 環境保全の意識を高める標語募集
自然を守る呼び掛けるポスタ−作り
牛乳パックを利用して作った犬の糞とり器
商店街で取ったアンケ−トを集計したグループ
これからもゴミが増えないように、我々人間が少しでも環境に関心を持ち、積極的にゴミを拾って、21世紀には住みよく環境もよい世界にすればいいと思います。
環境保全に関する総合学習で、子供一人一人は自分の視点で課題を持ち、自分の力で実施可能な解決方法を決定し、十分な時間の保証の中で納得いくまで取り組むことができた。参観日では保護者に、児童集会では全校児童に堂々と成果を発表することができた。意欲的に学んだ子供の目は公園に立てられた空き缶の投げ捨て防止を呼び掛ける立て看板を見逃さない鋭さを備えることができた。環境保全の難しさは、理屈では分かっていても日々の実践に移しにくい点にある。例えば、夏の省エネの難しさを家族全員の暑さに耐える意志面と体力面の協力の難しさから報告した子供がいた。
私たちの欠けがえのない地球環境をいつまでも美しく保っていこうとする意欲と日頃の態度形成はそう簡単に同時進行で身に付けられるものではないけれども、小学校段階から環境保全に対する意欲を高揚しておくことは将来にとって非常に大切なことと考える。共生の視点から実施可能な単元を探るべく今後も実践を積んでいきたい。