大学等廃棄物処理施設協議会報告
排水処理センター 藤原 勇
第17回大学等廃棄物処理施設協議会総会・研修会
日時 平成11年11月18、19日
場所 東京大学文学部3大講義室
11月18日
開会の挨拶 大学等廃棄物処理施設協議会会長 高月 紘
総会
平成10年度事業報告、決算報告、監査報告、プロジェクト内規報告
平成11年度事業計画、予算案審議、次期役員改選
技術賞受賞講演
1.加計学園岡山理科大学水質管理室課長 平田 まき子
2.秋田大学環境安全センタ−文部技官 武藤
一
3.八戸工業高等専門学校学生課技術室物質工学科文部技官 山岸 俊秀
研修会
挨 拶 文部省大臣官房文教施設部指導課文教施設環境対策専門官 梶川 勇
特別講演「武蔵工業大学環境情報学部のISO14001認証取得について」
武蔵工業大学環境情報学部事務長 野沢 和範
一般講演
1.「インドネシア環境管理センターにおける実験廃液の管理システムの構築」
長崎大学環境保全センター 石橋 康弘
インドネシア環境管理センターJICA長期専門家 村上 勲
熊本県立大学環境共生学部 有薗 幸
2.「東京工業大学における内容物不明廃棄物の管理と処分」
東京工業大学環境保全センタ− 長谷川紀子・松並 淳
東京工業大学炭素循環素材研究センタ− 玉浦 裕
懇親会 山上会館
11月19日
特別講演「環境計測の新しい方向について」
東京大学生産技術研究所教授(環境安全研究センタ−長) 二瓶 好正
一般講演
1.「工業高専における環境教育の実践報告」
富山工業高等専門学校 伊藤通子・丁子哲治
2.「微細フェライトを用いるクリプトスポリジウム・オーシストの磁気分離について」
大阪大学保全科学研究センター 矢坂 裕太・中村 稔
江口 正治・田中 稔
3.「東京大学における実験系廃棄物処理施設更新について」
東京大学環境安全研究センタ− 山本和夫・鈴木良實
挨拶 大学等廃棄物処理施設協議会副会長 玉浦 裕
見学会 東京大学環境安全研究センタ−
今回の総会・研修会では「武蔵工業大学環境情報学部のISO14001認証取得について」と「東京大学における実験系廃棄物処理施設の更新」が挙げられる。武蔵工業大学は大学として初めてISO14001を獲得した大学である。講演ではその具体的な取り組みについての話であった。
産業活動に伴う環境負荷の低減を目標に国際標準化機構からISO14000シリーズという企画が設定され、順次発行されつつある。その中心になる物がISO14001(環境マネッジメントシステム/EMS: Environmental
Management system)であり。1996年9月に国際規格として発行された。これに基づいて、欧米をはじめわが国の企業及び事業所は工業生産に伴って排出される排気、排水、廃液などの官許言う負荷物の低減を目標とした独自のシステムを構築し、運用することとなる。こうした活動を第3者の審査機関に判定してもらい合格すると認証される。有効期間は3年であり。その間に年1回のサーベイランスがある。武蔵工業大学の場合、この取得のためまず新しい”横浜キャンパス”を新設する。ソフト面では新構想のカリキュラム、組織を作った。特に「環境」という広範囲にわたる領域に取り組むため、正課の授業科目以外にも”環境マインド”を学生たちに実感してもらうための工夫や企画が学部運営の基本になっている。また、ハード面では雨水や太陽熱の利用、冷暖房効果を高めるための袖壁やひさしを取り入れた建物全体に自然環境との共生を強く意識した「エコロジカル・キャンパス」を作り上げ従来型のキャンパスに比較して約30%のエネルギー消費量の削減を実現しているそうである。ISO14000
の取得の効果としては、精神的には大学初の承認取得というフロンティアの誇り、キャンパス在住者からの”環境マインド”の高揚。大学運営上の効果としては、当別に指導しなくてもキャンパス内での”ゴミのポイ捨て”がほとんどない、学生・教員に対する学内マナーに対する注意喚起がほとんど必要ない。教員のわがままに対する抑制効果が高い。といった効果が現れているそうです。「東京大学における実験系廃棄物処理施設の更新」については講演において概要の説明があり、見学会において実際の改修し導入された装置について見せてもらった。新しくなったところでは、無機系廃液処理施設においてこれまでは対象としてこなかったBe,Tlの処理が行えるようにマルチリアクターが新しく設置されたことである。廃液はできるだけ他の物と混ぜないで、少量づつ処理できるように考えれた結果である。改修のメインは有機系廃液処理装置の改修及びダイオキシン対策である。ダイオキシン対策用バグフィルターシステムの導入。前段の排ガス処理装置も改善され、その結果排気口出口のダイオキシン濃度は0.016ngTEQ/m3N以下(検出限界以下)を実現している。さらにバグ飛灰による作業を自動化することにより作業者暴露と環境放出を防止している。この有機系廃液処理焼却炉は140l/hの小規模焼却炉ではあるがダイオキシン対策がこれにより対応できるようになっている。見学会で感じたことは、施設のメインコントロール室では8個のモニター画面が設置され。処理装置の状態が監視できるようになっていること。また、処理廃液の流れがよく分かるように廃液装置では配管が色が付けてあり、作業の上点検の上で、ニアミスが起こりにくいようなことがよく考えれて作られていると思った。また、装置の一部に透明なアクリル製カバーが使用され、装置の内部が監視できるよう工夫されていることも印象に残った。
第16回廃棄物処理技術分科会
開催日時 平成12年8月8日、9日
場所 山口大学大学会館大ホール
8月8日
挨拶 大学等廃棄物処理施設協議会会長 高月 紘
文部省大臣官房文教施設部指導課 並河 宏明
特別講演 「地域と地球の環境保全」 山口大学名誉教授 中西 弘
一般講演
「神戸大学等における排水中の揮発性有機化合物排出動態と迅速分析方法検討」
神戸大学水質管理センタ−
長岡 健二
「岡山大学における廃棄物処理の現状とその課題〜一般系廃棄物を中心に〜」
岡山大学環境管理センタ− 秋吉延崇 加瀬野悟 河原長美 「理化学研究所における排水処理施設について」
理化学研究所安全管理室 吉識 肇 山仲 暁 松澤安秀
原沢 薫 篠原茂己 加賀屋悟 宮川眞言 深沢国雄 上蓑義朋 澤 宏
「山口大学の排水処理システムについて」
山口大学排水処理センタ− 藤原 勇 松田清司 佐々木義明
事務連絡等
懇親会 山口大学 第2学生食堂
8月9日(水)
展望講演
「宇部市のリサイクル資源の再生化について」
(有)大新金属商会 翁林武雄
特別講演
「内分泌攪乱化学物質の野生生物への影響
―過剰肢ガエルの発生と原因究明―」
北九州市環境科学研究所 門上希和夫
プロジェクト報告
あいさつ
大学等廃棄物処理施設協議会副会長
浜松医科大学 松島 肇
山口大学排水処理センター主催の講演会
「ゴミ問題とライフスタイル」 京都大学環境保全センタ−
高月 紘
「東京工業大学の環境保全への取り組み」
東京工業大学炭素循環素材研究センタ− 玉浦 裕
今回の分科会は山口大学が世話役となった。会場を大学会館で行い。夏の一番暑い時期に行った。当日会場の設定、調整を行っていたので、あまり講演については推測の部分も多いと思われるが、内容について述べる。今回の分科会は山口大学の近くにこれといった見学するところもないこと、理事会の先生方が地域の人に貢献しようと言うことになり、見学会に変えて無料で講演をしていただいた。
特別講演では山大の名誉教授の中西先生が「地域と地球の環境保全」について多くのの資料を基に持続可能な21世紀の経済活動等々が述べられた。その中でリサイクルは2の次であり、丈夫で長持ちがする物を使うような社会システムにしなければならないことが強調されていたように感じた。内容はまず、地球的視野からの持続可能な発展の枠組みとしては技術開発が持続可能な利用者のパイを広げる、省エネルギー、省資源、環境保全の技術、供給型エネルギーの利用技術。新社会経済システムの構築としては持続可能な視野からの規制(エネルギー)下での自由経済、無用な生産(浪費型)をしなくても食べていける社会の形成労働時間の短縮と雇用拡大、省エネルギー・小資源型のライフスタイルと利便性の制約である。その中でわが国の役割としては、新しいライフスタイルの構築循環型社会形成推進基本法、リサイクルからリサイクルを必要としない社会の形成即ち長持ちの製品、修理産業の育成容器と中身の2重価格制の導入、新製品の開発が廃棄物の増加につながるデポジット性の導入が挙げられる。持続可能な新経済社会システムの構築の具体的例としてはフロー経済からストック経済への転換、少量生産、少量消費、少量リサイクル社会、環境、資源中心の税制への改革(環境税、エネルギー税)である。また、地域(山口県)の問題として、山口環境創造プラン、山口県地球温暖化防止行動プログラム、山口ゼロエミッション推進協議会、瀬戸内海における新たな環境保全・創造施策等が紹介された。
環境ホルモンについての講演では、過剰肢ガエルの発生とダイオキシンのことについての研究の結果が報告され、結論としては直接関連する結果は得られなかった。しかし、検出レベルのダイオキシン濃度で血液や肝臓中のレチノイン酸濃度が低下する事が知られており、レチノイン酸は胚発生段階で四肢形成などに重要な役割を果たしていることからレチノイン酸濃度が低下することとが過剰肢ガエルの発生に関連するかもしれないことが報告された。
次に公開講演会のについて述べる。平日であり外部からの聴講者は3人であった。また学内から23人(その中事務局から3人)と夏休みに開催したこと、排水処理センターの宣伝不足もあり、せっかくの講演に対してもっとほかの人に聞いてほしかった、との意見も寄せられた。講演内容については、高月先生の
「ゴミ問題とライフスタイル」では、漫画を使って一目見たら何にを意味しているかがよく分かり楽しい講演ではなかったでしょうか。高月先生はゴミの研究を行っておられ、実際に京都のゴミの中身を20数年調べられいて、その結果に基づいてのデーターが報告された。現代社会は便利であることで早く多量にゴミを生み出していることが改めて理解できた。また、経済活動とゴミの量は関連があり、バブルの時代にはかなりの量の食べることができる食料品が平気で捨てられている写真が印象に残った。米10kgが平気でゴミとして捨てられていたのである。食料のうち手つかずでゴミとなるのが13%である。ゴミ問題については考えさせれる講演であった。また、学生の意見としてはまず、大学の先生がゴミ袋を実際に破って中身を調べた事実に対して、驚いた感想を聞いた。中身についても漫画のためとてもわかりやすい内容であったと聞く。今年からペットボトルが回収するような社会環境になったが、思ったほど効果が無いことの事実に対して驚いていた。もう一つの講演は「東京工業大学の環境保全への取り組み」について玉浦先生に東工大の現状についての話であった。山口大学とは異なり、立地している環境が都市部にあると言うことから、廃棄物に関しては厳しいこともあって、過去の経過から、東工大環境保全センターの規則、及びそれに関わる規則の整備について苦労された話であったように思える。は学内の組織、運営に関わることについては当事者でないとすぐには理解できないこともあり、素人の私には少し消化不足であったことは残念である。生成は廃棄物の管理に対しての東工大の組織のあり方、有害物質の流れについて具体的なことについてお話を聞いた。
第一回大学等廃棄物処理施設協議会技術者連絡会プログラム
開催日時:平成11年11月17日(水)
場 所:東京大学工学部3号館34号講義室
挨拶 大学等廃棄物処理施設連絡会担当理事 柏木 保人
総会 1.平成10年度事業・決算・監査報告
2.申し合わせ事項の変更について
3.各ブロック長の紹介
4.その他
研修会
特別講演「化学物質の安全性と実験廃棄物処理」 東京大学環安全研究センタ−
鈴木 良實
技術発表
1.「実験系希薄洗浄排水の処理に携わって」
筑波大学実験環境管理室
岩原 正一
2.「廃液処理の安全性とその確保(人を中心として)」
岡山大学環境管理センタ− 田中雅邦、秋吉延崇
3.「改装した処理施設の現状について」
日本電気環境エンジニアリング
片山 能裕
ディスカッション
1.実務的問題解決のための専門技術者相談ネットワ−クについて
2.「大学等廃棄物処理施設技術者実務マニュアル」の作成について
3.その他
懇親会
挨拶 大学等廃棄物処理施設協議会会長 高月 紘
平成11年秋に第一回大学等廃棄物処理施設協議会技術者連絡会が総会・研修会の前日行われた。この会は廃棄物処理に関わる専門技術者(技官)の集まりが長年の懸案であった。山口大学からは藤林センター技官が出席されなかったが、藤原が出席者に聞いたことついて述べる。廃液処理・廃棄物処理において現場で実際に処理されている方には、現実の問題を抱えおられることが多い。大廃協の総会・研修会や分科会はそうした現場の問題も取り上げてきた。しかし、教官と技官の会議ではうまく相談できない等々のこともあり、教官がいない立場で思ったことが議論でき、何よりも技官の方の情報交換の足がかりになればと計画された。また、
総会・研修会の前日にすることにより、旅費の面でもあまり負担がかからないように考えられた。この会は思ったよりも多く59人の方が集まり活発な意見交換が交わされた。懇親会も2千円でゆっくり交流ができた、と聞いています。
引き続き毎年総会の前日に集まることが計画されることとなった。