インドネシアの獣医系大学11校と山口大学大学院連合獣医学研究科構成3校(山口大学、鹿児島大学、鳥取大学)との教育・研究交流を図るため1昨年から始まった本シンポジウムも2回目となった。獣医学領域での高等教育での連携と若手研究者育成をより明確にするために、シンポジウム名称を‘International
Symposium in Veterinary Science 2018—Strengthening
the Regional Veterinary Education and Research for the Future Excellent
Veterinary Graduates—’と改め、古都ジョグジャカルタのガジャマダ大学獣医学部において2月28日(水)に開催された。
開会式ではガジャマダ大学の国際連携担当副学長Paripurna
P. Sugarda教授、山口大学の国際連携担当副学長三浦房紀教授の臨席と祝辞をいただいた後、開催校獣医学部長Siti
Isrina Oktavia Salasia教授の歓迎の言葉が続いた。今回は昨年以上に参加者を伸ばし、本研究科からの教員8名、学生9名、インドネシア獣医系大学11校の学部長ならびに代表者、若手研究者や獣医師など総数は180名を超えた。それぞれの大学紹介を行い、研究発表として口頭発表31演題、ポスター発表32演題で研究交流を図るとともに、歓迎会ではガジャマダ大学獣医学部生の楽曲演奏と歌唱、完成度の高い迫真の寸劇が披露され、相互理解と友好を深めた。今回からインドネシア獣医師協議会ならびに獣医系大学学部長会議が認定する公式シンポジウムとなり、参加者を増やすとともに、シンポジウムの新名称にも願いが込められているように、次世代を担う人材養成に向けてインドネシアと日本の獣医系大学が連携して取り組んでいくことの重要性を再確認した。
インドネシア獣医系大学11校のうち、ボゴール農業大学、ガジャマダ大学、アイルランガ大学、ウダヤナ大学の4校は既設校として着実に歩んできているが、ここ数年に集中して新設された獣医系大学での専門教育を担当する教員の不足、既設校としての新設校への教育支援での過重負担が切迫した状況にある。また、既設校でも教員の世代交代に伴い次世代教員の不足が近い将来に見込まれている。昨年の本シンポジウムをとおして深めた相互理解が、今年度において教員の相互訪問、研究科からの講師派遣、20名を超える学部生の短期研修受入として着実に結実している。獣医学高等教育や研究者交流での相互協力の進展は、獣医療や獣医学が抱えるアジアの地域的課題解決に向けた大きな一歩ともなる。
シンポジウム新名称に願いを込め、共に掲げた目標に向かい、価値観を共有する友として歩むことを誓った充実した1日であった。
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