第13回大学等廃棄物処理施設協議会総会・研修会および第12回廃棄物処理技術分    科会について

            排水処理センター  徳力 幹彦,藤原 勇,前田 康孝

第13回大学等廃棄物処理施設協議会総会・研修会

  日 時 : 平成7年11月9日ー10日

  場 所 :早稲田大学学術情報センター国際会議場

11月9日

 総 会 

 技術賞受賞講演

   1,小山建夫(早稲田大学)「「泥棒」との歩み」

   2,奥墨勇(埼玉大学)「処理施設の12年と更なる環境負荷を目指して」

   3,前田芳己(琉球大学)「処理施設共に」

   4,渡邊広幸(日本エンジニアリング(株))

                     「有害物質を含むスラッジの安定化」

 研修会

 あいさつ 文部省文教施設部指導課           指導課長 原山 明宗

  特別講演「早稲田大学における研究室の安全と環境」

                   早稲田大学・理工学部教授  松本 和子

「労働作業におけるトラブルに対する初期対応について

            東京女子医科大学・救命救急センター  教授 鈴木 忠

懇親会

11月10日

特別講演「循環型事業所としての大学にむけて」

              国立環境研究所・社会システム部・部長 後藤 典弘

フリーディカッション「有機塩素系溶媒排出低減」について

部会活動報告

  1,環境教育部会

  2,安全衛生部会

  3,処理プロセス部会

  4,第3回大学等廃棄物処理アジア地域国際シンポジウム準備報告

閉会のあいさつ 大学等廃棄物処理施設協議会副会長        正藤 英司

見学会 早稲田大学安全センター(処理室,分析室,ケミカルショップ)

    物性計測センターラボ

    マイクロテクノロジーラボ

 今回も,有機塩素系溶媒排出低減についての話題が含まれていた.しかし,協議会では,各メーカーの有機塩素系溶媒排出低減のための装置及び製品のアピールが主な内容であった.昨年よりは確実に機塩素系溶媒の回収効率がよくなった機械が開発されていた.有機塩素系溶媒の蒸留については感心があり,その対策も進んできた.しかし,これら有機塩素系溶媒を抽出に用いたとき発生する水槽の水については,たっぷり有機塩素系溶媒を含んでいることが,他の大学において調べらている.さらに,せっかく溶媒を回収しても器具に付着しているため,洗浄の時に排水に流されることになる.従って,抽出後の水槽を有機系廃液として,正しく処理しなければならないことが指摘された.有る大学ではこの廃液を処分するために有機系廃液の量が増加して,装置の能力以上の廃液が発生するようになったとの現状の話を聞いた.昨年一部の大学では,この対策にかなりのお金を用意できたという,頼もしい話題については今回は現れなかった.次に印象に残ったのは,松本和子先生の「早稲田大学における研究室の安全と環境」であった.おりしも,阪神大震災の後であり,実験室の作業環境については感心の集まるところであった.防災と言う点では早稲田大学は,実験台のスペースが広く,いち早くボンベの集中管理等々が充実している.これは,後の見学会で早稲田大学安全センターを見学して,改めて感じた.ボンベおよび薬品をコンピューターにて管理については,早稲田大学が理工学部全体の劇物,毒物の保有量を常に把握できるコンピューター管理システムを作ったことである(図1,2).この中で,我々が関心を持つところは,薬品の管理である.早稲田大学では,薬品購入時にバーコードラベルを薬品瓶に添付して(図3),これにより,管理を簡単にしようとしている.また,ケミカルショップという学内で使用する薬品を取り扱っている店を作っていることである.すべての薬品がここで,取り扱われているわけではないが,汎用の薬品保管してあり,簡単に購入できるようになっている.当然のことながら,ここで,売られる薬品についてはバーコードを付けて売られ,薬品がなくなったと同時にケミカルショップに連絡して使用したという連絡をするシステムになっている.将来は各研究室の薬品庫とケミカルショップとをつないで薬品庫,コンピューター,バーコードリーダー,電子天秤まで接続する構想がある.各研究室の薬品庫の薬品の使用及び保管状況がわかる仕組みである.ここでは薬品庫は単なる薬品棚と言うものではなく,地震などの際にも転倒しないように仕切のある防災の面について考えた薬品庫であることである.

 廃液を管理する我々にとって,コンピューターを利用した研究室の薬品量の把握については興味のある話題であった.大学で購入された薬品は,いずれは廃液として廃液処理施設に持ち込まれることが必然と考えられるからである.または,数年後に不用薬品と言う形で,問い合わせ及び処分の必要性が出てくる.山口大学では今,不用薬品の調査・斡旋を行っている所である.不用薬品の調査も大切であるが,山口大学全体の薬品量,年度ごとの購入量,使用量をどこかで管理しておいて定期的に排水処理センターへ情報が入る仕組みになれば,もっと排水処理センターの仕事が積極的に,廃液処理の点からみてスムーズに行けると考えられる.

第12回廃棄物処理技術分科会 プログラム

日 時 : 平成8年7月18日ー19日

場 所 : 鳥取大学工学部

7月18日

あいさつ 大学等廃棄物処理施設協議会会長            白須賀 公平

特別講演 「産業廃棄物と行政」

              鳥取県生活環境部環境生活政策課 参事 杉本 雅美

研究成果報告

 1,石灰化法によるふっ素・リン酸含有廃液の処理ー詳細な処理条件の検討ー

                   長崎大学環境保全センター  石橋 康弘

                                 田中 泰広

                       有限会社環境産業  川口  聡

2,紫外線酸化法によるジクロロメタンの処理

          岡山大学環境管理センター 井勝久喜,近松裕子,竹内文章,加瀬野悟,高木茂明

3,廃試薬の処理体系           愛媛ゼネラルサービス  日岐 文彦

4,廃棄試薬類の回収と処理 

                    長崎大学環境保全センター 石橋 康弘

                                 田中 泰広

5,岡山大学における有機・無機廃液処理装置の改修工事について

      岡山大学環境管理センター 加瀬野悟,井勝久喜,篠田純男,高木茂明

6,廃液処理装置更新に伴う諸問題について

                       北海道大学工学部  江見清次郎

事務連絡等  第3回アジア地域国際シンポジウムについて

                     国際交流委員会委員長  原口 紘

懇親会

7月19日

 特別講演  乾燥地の潅漑農業における持続的開発

                鳥取大学乾燥地研究センター  教授 山本太平

グループディスカッション

   部会の活性化について

閉会のあいさつ 大学等廃棄物処理施設協議会副会長         正藤 英司

見学会  乾燥地研究センター  

 産業廃棄物と行政については,行政の立場からの話が興味をそそった.廃棄物とは,もの(物質)が需要と供給とによって有価物になるかまたは廃棄物になる,と言うことである.つまり,廃棄物の定義?は有価物以外のものである.廃棄物に関する正しい法律の名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」である.「これは,相手が善人者なら.. この法律でよいのですが.悪い人?であれば,住民,行政が泣き寝入りするような,法律である」と聞きました.法律自体が,まだまだという印象を与えた.産業廃棄物の処理施設をめぐる地域紛争が全国各地で起こっている.ちょうど,テレビでは産業廃棄物を放置したまま会社がつぶれたため,その後始末について,財源がないこと,業者が不正をしていることの把握の難しさから地域住民の不満を解決できないままになっているニュースを聞いたばかりである.以下に協議会で配られた資料の一部を載せておいた.

 産業廃棄物のわが国に仕組みは図4の通りである.

 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により,一般廃棄物は市町村が処理するのに対し,産業廃棄物はその廃棄物を排出する事業者の責任で処理しなければならないこととされている.つまり,事業者は,その産業廃棄物を自ら処理するか都道府県知事・政令市長の許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託して処理しなければならない.

 都道府県は産業廃棄物処理の仕組みの中で大きな役割を担っているが,その事務は機関委任型であり,産業廃棄物処理施設についても国が示した基準(必ずしも十分ではない)に適合していれば,知事は許可しなければならない立場である.廃棄物処理法では,設置措置にあたって地域住民の意向を反映させるシステムは全くなく,上乗せ条例の許可規定もないため,県独自の基準を条例で設定する事ができない.

 このことから,県は反対を訴える地域住民と施設設置業者との板挟みとなり,苦慮することが多い.また,多くの県では,条例が設定できないため,要項により地域住民との調整を行って,紛争の防止を計っているが,根本的な解決には至っていない.とにかく,国の法制度の早急な整備が待たれる.そうである.

 これを聞くと,大学内の廃棄物処理が難しいのもうなずける,と思った.