廃液の手引きの作成について

                        排水処理センター  藤原 勇はじめに

 今年度,10数年ぶりに廃液の手引きを作ることになった.これには,次の理由によるものが大きい.それは,無機系廃液処理施設が更新され新しくフェライト法に変わったことによる.フェライト法の原理については,昨年度の環境保全をご覧になれば幾分わかるのではないかと思う.また,近年,水質汚濁防止法が改正されたことは,以前に述べた.さらに廃棄物の処理および清掃に関する法律も改正された.このように,大学の中外から,今までの廃液の手引きの内容では,現状の山口大学にあわなくなった.これら,処理方法の変化,法律の改正等々,その時の排水処理センターからの通知だけでは,不十分であること.通知文を知らない人にとっては,拠り所がないことが揚げられた.いくつかのルールの改正に伴い,工学部では,独自に廃液のマニュアルを発刊された.しかし,その基になる廃液の手引きが,きちんと現状に則したものでないのは困るとの指摘があった.とにかく新しい「廃液の手引き」を整備することとなった.この雑誌が,皆様に届くときには,廃液の手引きも届いていることと思います.

廃液の区分

 廃液の区分について,従来と大きく異なったのが,無機系廃液と有機系廃液である.従来と変更した点は,廃液の名称もある.より廃液を間違わなく,正確にかつ簡単に呼ぶためである.

 1,無機系廃液

 無機系廃液については,フェライト法を採用したことにより,処理の方法が根本的に今までの凝集沈殿法とは異なっているからである.フェライト処理において処理できない物質については別の方法で処理する事になるか,または学内では処理できないことより,廃液のままに引き取ってもらうこととなる.無機系廃液の区分は重金属,水銀,シアン,フッ素・リン,フッ素・リン・重金属,特定の6区分になった.従来は重金属としてほとんどのものが出されていた廃液について,重金属,フッ素・リン,フッ素・リン・重金属,特定のさらに4区分へ分けることが必要となった. 

2,有機系廃液

 有機系廃液については区分について,手引きを作成する上で改正の必要性が生じてきた.本大学の場合,有機系廃液は学内処理ではなく,業者委託である.法律の面から,今まで道理では不都合が出てきた.時期的には少々遅くなったことは認めるが,法律の改正により,特別管理産業廃棄物についての取扱い及び手続きが厳しくなったからである.廃液を業者委託する際はマニフェストの記入の手続きが必要となってくる.これは特別管理廃棄物については,産業廃棄物のマニフェストと異なるためである.このことから,有機系廃液処理を処理業者に発注する際に,特別管理産業廃棄物を分けて表示することになった.もう一つの理由として,有機系廃液処理を処理業者から,塩素系の廃液については,その含有量が表示して欲しいという養成があったこと.理由は塩素化合物を燃焼するために塩酸が発生するため,これの中和剤として,アルカリ溶液の代金を上乗せしたいとの要望からである.今までは1,2,3室の区分であり,消防法を基にした区分である.徳別管理産業廃棄物については区分・区別については特別指定していない.実際には主に可燃性の廃液,第一,二石油類とオイルや不燃性第四石油類の廃液の廃液がよく出される.

 以上,廃液の区分については,これらの条件を含んで細かく分けることも考えられた.しかし,細かく区分しても,研究に寄って排出される廃棄は,第一,二石油類とオイルや不燃性第四石油類の廃液が主であること.細かく,消防法に基づいて区分しても,排出者にとってわかりにくいものはよくないであろうと言うことで,表1に示す様に区分を変えてみた.また,有機系廃液の表示表についても表2に示したように改め,しばらくこの区分に従って,廃液を回収する事にした.また,法律が変わり,有害物質が増えた場合には新たに考える必要が出てくると思われる.新たな区分は物質の引火点を基にして分けてある.

3,生活排水および実験洗浄排水モニター室

 生活排水および実験洗浄排水モニター室については,吉田地区の生活排水が,1996年6月に公共下水道に接続となった.これに伴い,吉田地区の生活排水は終わりとなり,生活排水の記述は取り除くことになった.また,今現在,大学の吉田地区については実験洗浄排水モニター室が設置されているが,将来は常盤地区,小串地区にも整備されると言うことで,廃液の流れについては,将来構想も記述されている.

おわりに

 廃液の手引きにつきましては, 編集委員長 浮田先生(工学部),今村先生(工学部),赤壁先生(農学部),小林先生(医学部),田頭(理学部),徳力センター長の皆様のおかげで無事できました.この場を借りて,お礼申し上げます.また,このような廃液の手引きは,2年ごとには改正して,不備な点を改正していくことが必要であることを今回しみじみと感じました.このことは,排水処理センター独自でできることではなく,学内の色々な分野の人が係わって作成することは良い事だと思いました.さて,廃液の手引きが完成しました.次に必要なのは,「廃棄物処理の手引き」ではないでしょうか?「廃液の手引き」には,液体の物を取り扱う事を前提にしか作られていません.ぜひ,環境等汚染防止対策委員の方へ,液体以外の廃棄物の取扱についての「廃棄物処理の手引き」を作ってもらうよう要望します.「廃棄物処理の手引き」を作ってから初めて山口大学の環境保全は第一歩が始まると私は考えています.