編集後記


 山口大学環境保全第13号では特集として前号に引き続き、山口大学のアメニティ環境を取り上げた。常盤キャンパスについてはドイツからの留学生であるケルスチン嬢がユニークな意見を述べている。原文は英語のみであるが、編集委員会の方で若干の日本語を追加している。この中で、われわれは自分の経験を手本にして環境づくりを行うので、大学キャンパスにおいてもそういう意味での環境教育の場であるべきであること、学生は受け身ではなく積極的にアメニティ環境づくりに参加すべきであることを指摘し、具体的には常盤公園と連携した緑のキャンパスの構想、駐車場スペースをむしろ制限して自動車通学を控えさせるという提案、毎日大量に出る弁当ガラのリサイクルの提案を行っている。

 一方、学生の参加という点では、学長の提案によるおもしろプロジェクトの中で、そのような取り組みがいくらかなされており、本号でもその3つのプロジェクトを紹介している。その中で細川君の「山口大学環境整備改善計画」では吉田キャンパスのアメニティ改善の提案がさなされているが、具体的には、講義室の冷暖房完備、駐車場の拡充が挙げられていて、先のケルスチン嬢の提案と比較してやや対照的で興味深い。これからの地球環境時代にあっては、身近な快適性を追求するだけではなく、その結果地球環境に与える影響も十分に考える必要があるという視点を忘れてはならないと思う。

 日高さんの「春の小川ルネッサンス〜めだかの学校〜」はキャンパスから地域に飛び出した活動の紹介で、これからもこのような学生の積極的なチャレンジが盛んになることが期待される。広中学長が理事長を務めるJAMS(The Japan Association for Mathematical Sciences)の国際セミナーに参加した学生の体験記も2題載せさせていただいたが、このように学生の活動を支援する仕組みが充実してきていることは大変喜ばしいことである。

 解説記事として現在大きな社会問題になっているダイオキシンをとりあげた。工学部ではやっと平成9年11月より可燃ごみの分別を実施し、大部分を外部委託処理することにより、構内焼却炉の負荷を大幅に減らしているが、焼却炉の管理、空き缶等のごみの散乱、廃自動車の放置など、ごみ問題に学生を含めた全員参加の対応が求められている。

 本学においても、環境汚染対策委員会と排水処理センター運営委員会の役割を再整理して、廃棄物問題等により効率的に対応する必要があるように思われる。

 教官の研究紹介的な記事が本号ではやや希薄になったが、本誌がどのような意義を持つのか編集委員会で議論を継続して、マンネリにおちいらないように工夫していきたい。

 終わりに、忙しい中、執筆していただいた方々に感謝いたします。

(1997.11.15 浮田)