人とアメニティ環境について

                       経済学部3年   中野 悠樹

 吉田キャンパスに入ると、多くの緑を発見する。キャンパスの周りの景色とキャンパス内の日本庭園の風景が実に見事に目に映ってくる。これは山口大学の特権でもある、のびのびとした風景である。

 ここで吉田地区の環境について考えてみようと思うが、まず「アメニティ環境」について少し触れたい。アメニティと聞いて、それが何なのかを答えられる人は少ないと思う。私自身もアメニティの意味について殆ど知らなかった。ある辞書には、「都市計画などで求める、建物・場所・景観・気候など生活環境の快適さ」とある。具体的なイメージは浮かびにくいが、簡単に言うと「人に快適さを感じさせる要素」のことで、これは人々の考え方にも依存する。

 しかし、現実には大学構成員全員の一致したアメニティ環境をつくることは不可能である。その理由として考えられるのは、「個人個人で環境像が異なっていること」ではないだろうか。環境像は人それぞれである。たくさんの自然の中に囲まれた環境が良いと思う人、整然とした庭や道路がある環境が良いと思う人。静かな環境が良いと思う人も雑然とした環境が良いと思う人もいるので、思う環境像を一つにまとめることは難しいのである。大学の環境について真剣に考えている人はごくわずかだが、大学のアメニティ環境を考え

ていくうえで、これらの人の意見を反映した環境造りを行っていくことが重要なのである。

 現在の学生の間でよく耳にすることは、交通の不便さや学内及び大学周辺の商店や食堂などの施設の少なさである。私自身もこのことについては全く同感である。以前、広島大学を訪問する機会があったが、山口大学と比較すると、明らかな差がある。どこが違うかというと、食堂や売店など施設の数や規模である。同じ国立大学でこんなにも違っているのかと、半ばあきれた。昼食時になると、山口大学の場合、食堂が小さすぎて、食堂内で食べられない人がたくさん出る。売店でも人があふれるといった傾向が見られる。交通面でも、駐車場は広島大学より狭いし、構内の道路も整備されているとは思えない。また、構内では放置自転車があふれている。野外の運動施設周辺には、ゴミがあちこちに散らばっている。これらすべてを取り除くには、個人個人の環境への意識を高めることが必要だろう。生活しやすい環境造りをすること=アメニティ環境の創造だと思う。

 学内でアメニティ環境を造るには、交通面についてもっと考慮すべきだと私は考えている。学内の車両通行量の増加に伴い、現在、交通の安全性の問題が浮上しつつある。今年度は特に交通安全対策が強化されてるが、通行許可証なしで構内に車で来る人は跡を絶たない。このような交通違反者がなくならないのは、規則違反をする人が、大学のアメニティ像を共有していないだけでなく、そのことの重大さに気づいていないからだろう。こうした人たちが許されるわけではないが、大学のアメニティ像を大学の全構成員に理解してもらうことは重要である。

 日本という国全体が環境について意識が足りない。環境保全といっても言葉だけだったり、せいぜいリサイクルとか車の排気ガスを減らすことにとどまる。もっと大規模な環境保護が必要なのだが、そういった点への日本人の理解は概して不十分である。

 これからのアメニティ環境造りは、住みやすさや便利さだけでなく、「地球にやさしい環境」を目指すべきである。そのためには、大学構成員だけでなく、周辺地域の住民も含めて改善の方法を考えていく必要があると思う。誰が見ても居心地のよい大学にしたいものである。