工学部環境安全対策委員会の活動

工学部  今村速夫

当委員会では、昨年からの焼却炉の問題とそれに伴う ゴミ処理の話し合いに終始してきた感がある。焼却施設からのダイオキシンなど有害 物質の排出がにわかに社会問題となるとともに、工学部のゴミ処理に関しては、これ までにもたびたび地域住民や地区自治会からの苦情(焼却炉の使用時に発生する大量 の黒煙や悪臭、また焼却後の塵灰が野積みのため風の強い日は隣接する市営アパート にまで飛散して洗濯物に黒いシミを残す等)が寄せられておりました。さらに、宇部 市や山口県宇部環境保健所からもこれらの苦情については十分に配慮すると同時に、 何らかの対応を早急に講じる必要に迫られるという状況にありました。

ま ず、できるだけ焼却炉の使用を減らしたいということで、昨年7月より事務系および 研究室系から出るゴミのうち古紙(コピー紙、チラシ、新聞紙、雑誌、ダンボール) については、2ヶ月に1度のペースで業者による回収をおこなうこととした。古紙の回 収は資源ゴミとして再生利用されることで教職員・学生の理解と協力が得やすかった こと、また一般ゴミと違って分別がしやすいことなどで、回収作業は大したトラブル もなくこれまで毎回順調(?)に行われてきたように思われる。

次いで、 平成10年1月より焼却炉の全面的な使用停止と将来的には撤去を前提に、11月より試 験的に一般ゴミについても分別収集を始めることを協議し、工学部におけるゴミ処理 はこれまでの焼却処分から業者委託の回収へと全面的に転換することとしました。さ らに工学部には、装置や器機搬入の際の梱包用の発泡スチロールも相当量あり、これ についても専門業者による回収をおこなうようにした。その結果、工学部での研究室 ・事務系のゴミ収集は、現在、資源ゴミと一般ゴミに分別して以下のように実施して いる。

        工学部におけるゴミの分別と回収

ゴミの分類は基本 的には宇部市のゴミ収集に合わせて、一般ゴミは生ゴミ、紙くず、プラスチックゴミ それとペットボトルとした。いずれも透明ゴミ袋(50 L)に入れ、週1回月曜日に指 定時間内に集積所に搬出している。またゴミ袋には必ず研究室名や所属を明記し、ゴ ミの分類・搬出に責任を持たせることとした。

ゴミの量がいったいどれくらいになるのか協議のしようもなかったが、過去数回の総量の推移をグラフに示す。当初議論されたことは、搬出場所や方法、回収頻度、搬出までのあいだゴミを部屋に 貯めて保管せねばならずスペースの問題、特に生ゴミでは梅雨期、夏場の腐敗やそれによる臭いが懸念された。研究室系では生ゴミはそれほど多くないこと、また弁当・カップ麺容器は食後必ず水洗いを徹底させることで対応し、同時に意識の向上をはかることなどが話し合われた。また、ジュースの空き缶・ビン等は従来通り集積所のコンテナに搬出しているが、これも水洗いして出すように習慣づけることで学生のゴミ処理に対する認識を少しでも改めるよう注意している。

講義棟やキャンパス内、また2、3年生が出すゴミに ついては、可燃ゴミ、ペットボトル、缶・ビン類の3分類としている。現在、分別回 収用のゴミ箱の設置など進めているが、まだ周知徹底していないこともありこの点をさらに検討している。研究室所属の学生(4年、大学院生)に比べて2、3年生には注 意が届きにくいことや、意識が低い分十分に周知させることが必要との認識である。その対策の一つとして工学部キャンパスに移ってくる新2年生については、今年度からゴミの分別収集や環境美化の周知をオリエンテーションの中でおこなうようにした 。

古紙回収はこれまでに7回実施して、総量は表のようになっている。年度 末など時期による多少の変動はあるものの総量は確実に増えており、今後の減量化が 大きな課題となっている。一般ゴミとともに量がこのまま増えつづけると処理経費の 負担はこの先どのくらいになるのか、しかしゴミを減らす名案はなかなか出てこない 。スーパーなどが行っているトレーの回収を、学生が学内外で買って持ち込む弁当容 器にも適用できればかなりの減量効果が期待できる。将来的には地域・社会のリサイ クルシステムが確立すればできるかもしれない。そのときキャンパスにリサイクルボ ックスのようなものが設置されればとも思う。しかし、いくらゴミ箱を設置しても正しく守られていない現実も ある。各個人、研究室また部署によってゴミに対する意識に相当の隔たりがあるため 、委員会で話し合われていることは、いかにルールを守らせるかといった次元の低い 内容である。いずれにしても今後、キャンパス環境の向上や美化の要請はますます高 まってくるが、そのためには教職員・学生の意識を変えていかなければならない。良 好な環境を形成・維持するために、費用とともに労力負担することを認識し協力して いくことも必要となるであろう。