編集後記

 本号の特集のテーマは「山口大学における環境教育」であったが、 印象としては教養部改組以来、むしろ体系的なものがなくなり、環境教育については 後退しているのではないかと思われる。それぞれ学部で、有志が持ち回りで負担を分 担するような体制で行われていることが多いようである。講義を担当する方は、授業 を準備することによって、むしろ教官側の勉強にはなる面があるが、学生の立場から すると、必ずしも十分なものでなく、不満足におわることもあろう。それぞれの応用 分野の講義において、環境教育の面を組み込むという方法も考えられるが、これとて も教官の個性によることになる。

 環境教育は共通教育のなかでも重要な 課題の一つであると考えられるので、共通教育センターでもこのような議論も必要であるように感じられた。

 さらに毎号感じることとして、もう少 し広い範囲から執筆者の掘り起こしが必要であることである。編集委員会で原稿執筆 依頼を考えるときに、どんな人材がおられるか把握しにくいので、どうしても編集委 員や排水処理センター運営委員の周辺に偏りがちである。たまに一般の先生方に原稿 を依頼したとしても、断られたり、いやいや引き受けていただくことも多い。たしか に、自分自身振り返ってもこの種の原稿依頼を受けたりすると、この忙しい中、わざ わざ仕事を作ってさらに忙しくなることがいいことなのかと考えることも多い。結果 的に毎号同じようなメンバーが名前を連ねることが多くなり、下手をすれば、「あれ は一部の人達が勝手に作っている雑誌である」というような印象を与える可能性もあ る。

しかし、このような中でも、本号の、大西堂文先生のエッ セイなどは、環境を見る目が新鮮で、興味深かった。このような文を発掘してわれわ れや学生達の目にふれるようにすることは、意義あることと思えたりする。このよう なエッセイが多く見られるようになれば、この雑誌もより魅力のあるものになるよう に思う。

 編集委員は少数なので、どなたが、どのような考えをもってお られるか、意外に分からないことが多い。若い世代に伝えたい意見、人に伝えてみた いユニークな意見、専門分野からの面白い環境観など、別に依頼がなくても原稿を編 集委員会の方に送っていただければ、積極的に採用し登載するようなこともやってい くべきであろう。

 また、今回はお忙しい中、中西先生の巻頭言 、斉藤實男先生のISO14001解説文、多賀谷先生の小学校における環境教育の取り 組み紹介など、外部の方々にも貴重なご寄稿をいただきました。この場をお借りして 厚く御礼申し上げます。

最後になりましたが、2年間御協力い ただきました編集委員の方々に御礼申し上げます。

編集委員長 浮田正夫