ゴミの減量化について               医学部 芳原 達也

 最近、焼却場からのダイオキシンの排泄による地域の土壌、大気、水質、汚染が、社会的大問題となり、厚生省及び環境庁が、排泄規制を相継いで打ち出しています。又、近年、環境ホルモンによる生体影響が世界的にクローズアップされてきました。
この様に現代社会における最大の課題は、年々増大するゴミ処理問題や産業廃棄物の処理問題です。科学技術の進歩とともに、人類は生活面でその恩恵を最大限に享受してきました。このため、大量生産、大量消費社会が出現してまいりました。この様な社会では、人間が快適な生活を送れば、送るほど、上記のゴミや産業廃棄物が増大するシステムになっています。他方、これらの問題点から、地域住民や企業も環境を意識した生活スタイルや企業活動が叫ばれる様になってまいりました。そしてエコシステム、エコロジー等々環境を意識した言葉がブームとなっています。しかし、いくら言葉で環境保護を叫んでみても、現実生活での変化は、ほとんど変わらないのが実状です。エアコンの使用や電気製品の多用による消費電力の増大、食料のインスタント化やパック化に伴うカン、ビン包装用紙、ペットボトル、ビニールや発砲スチロール等々の使用量の増大、新建材の多用に伴う化学製品やコーティング剤の増大等々、数限りない化学物質の使用及び廃棄が考えられます。この様な状況の中で、日本は、先進国中で、ダイオキシンの摂取量が最も高い数値が出て、行政機関を慌てさせています。この様な中で、私達がゴミ問題を解決する方法としては、いくつかの方法が考えられます。まず第一には、生活スタイルの変更が最も重要な課題と考えられます。これは、最も広範囲な影響を及ぼしてきます。例えば、エアコンのない生活を行うことにより消費電力を抑制し、電カ発電に必要な化石燃料の使用を抑制し、ひいては、CO2の大気放出を減少させる効果をもたらします。次に、一人一台ずつ使用している乗用車を、一家に一台にすることによる石油使用量の減少、また、バスや鉄道等の公共交通機関の利用促進による交通量の減少等々が考えられます。こられに伴って、自動車産業もエコカーとか、燃料使用の少ないハイブリットカーなどの開発に技術を傾けるべきです。
 次に、食料品の開発に関する間題です。現代は、大量生産、大量消費を促進し、安価な食料品を供給するために、企業は涙ぐましい努力を行っています。この結果、私達は、非常に多種類の食品を安価に購入し食卓を賑わせています。しかし、食品の中には、飼育課程で遺伝子操作を行った食品や、飼料中に成長ホルモン剤、抗菌剤、抗生剤等々の薬物や、飼料成分を調合するための合成脂質とか蛋白質、アミノ酸を配合しているものが多くあります。また、食料品や飼料の基本となる穀物の栽培に多量の殺虫剤や農薬を使用したり、化学合成肥料を用いています。この様な化学合成品の使用を制限するか、中止することにより、人体にとっては非常に健康的な食品が生産されることになります。
また、食料品の種類を観察しても保存食品とか加工食品の場合、防腐剤を始めとして、保存料、酸化防止剤、品質改良剤、調味料、漂白剤等々多くの食品添加物を添加する可能性があります。
この様に一つの食品を取ってみても、人の口に入るまでには、その生産課程から加工課程さらに調理課程の段階で非常に多くの化学物質が我々の体内に入ることになります。その量は、少ないものはppbの単位から多いものはgの単位までざまざまです。また、添加品以外の化学物質も食品そのものの中で人工合成される可能性があります。この様な物質の生体影響については、ほとんど解っておりません。また、食品の味覚を維持するために、数多くのコーティングや過剰包装を行っています。この様な無駄をなくし、原材料のみの加工、調理で生活する様になると、人体の健康にもよく、産業廃棄物の減少に役立つのではないかと考えられます。
次に最も多くの資源を無駄に便っているのは、流通課程を経由するために行う過剰包装です。例えば、テレビを例に取りますと、テレビを工場で生産するためには、それぞれの部品を全国各地の工場のみならず世界各国の工場で生産致します。この部品を組立て工場に集めるには、それぞれの部品を完全包装して運ばなくてはなりません。そして、その包装は、産業廃棄物として発生します。この量は部品の数が多ければ多いほど増大します。次に製品組立工場で組立てられたテレビは、梱包されて、流通業者を通して小売店の店先に並べられます。この梱包されたテレビを消費者が購入することになります。そして、梱包されているダンボールや発砲スチロールは、家庭用廃棄物としてゴミに出されます。この様に考えますと、物によっては製品の2〜3倍ものゴミがその生産、流通、消費を含めた、すべての過程での減量対策が必要になって参ります。
次にリサイクルの間題があります。例えばパソコンなどは、表面のブラウン管や液晶画面は傷付いていなくても、記憶容量や処理速度の異なりだけで古くなる例がほとんどです。この様な場合は中のチップを変換するだけで、その精能が上昇する場合がほとんどです。この様な製品を作る努力を企業が行う必要があるものと考えられます。
この様に考えますと、ちょっとした工夫で、ゴミの量を滅量できます。この他にも色々な方法が考えられます。生活スタイルのみならず、生産工程、流通機構、販売機構等々の改善が大きな役目を果たすものと考えられます。