ごみ焼却炉のダイオキシンの測定
排水処理センター 藤原 勇
1)はじめに
吉田地区の焼却炉から発生するダイオキシン類の測定が平成9年に行われ、その結果が公表されたあと、すぐに解説記事として載せるはずでしたが今回になってしましました。すでに、ダイオキシンについては環境保全第13号に浮田先生が解説記事を載せられております。または環境保全第14号では、環境等汚染対策委員会委員長がごみ対策についてまた、各地区の先生がごみ廃棄物の分別方法について解説記事を書かれその中でダイオキシン問題を少し取り上げられています。周知の通りすでに吉田キャンパスと常盤キャンパスではごみ焼却炉は取り除かれ、ごみの学内焼却は行われていない状況です。ダイオキシンの測定は吉田キャンパスの焼却炉のみが測定されたと聞いています。
2)ダイオキシンの測定
平成9年10月30日に測定した吉田地区焼却炉の概要(表1)及び焼却炉(図1)の資料採取場所(図2)を示す。資料採取は午前11時10分から午後3時10分の4時間かけて行われた。まず、燃焼に必要なごみが事前に集められ、これらを燃やし続けることにより測定中は燃焼が続くよう配慮された。煙突中の排ガスから一部を管を使って吸引することによりガスを導き、フィルター捕集部、吸着カラム(XAD捕集部)液体捕集部を用いてダイオキシンを吸着させた(表2,図3)。吸着したダイオキシン類を前処理によって溶離させた後(図4)、ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて、それぞれの成分の濃度を測定した。ダイオキシン類の濃度は、それぞれの化合物に換算係数をかけて算出し、求めた。(表3)その結果は49ng-TEQ/m3Nであった。詳しいデーター(化合物別に分析値を掲載)は表3に示しました。(測定は計量証明業者に依頼しました)。
3)結果
以上の結果から、ダイオキシン濃度の値は既設炉基準の80ng-TEQ/m3Nを下回っているが、5年後の(平成14年12月1日)より当施設は10ng-TEQ/m3Nとなり構造維持管理の強化が必要となる。ダイオキシンの発生状況を間接的に推測する方法として、CO濃度のモニター方法がある。CO濃度が高いとダイオキシンの発生量が多くなるという、相関があるからである。今回ダイオキシンを測定した運転状況のCO濃度は4時間平均値(O2
12%換算)は906ppmであり、維持管理の値の100ppmを上回っている(図4)。その変動は54−20500ppmと大きいことが観測されている。この理由はごみ投入時における炉内温度の不完全燃焼状態により濃度が大きく変動している(図5)。ダイオキシンを減少させるにはCO濃度を減らすような運転する必要がある。また、この装置は燃焼温度を制御する装置を備え付けていない等々であることから、今後この炉を使用する場合にはかなりの技術的な整備が必要とされることがわかった。