編集後記


 山口大学環境保全第16号では、巻頭言として、吉村弘副学長に環境コスト意識を書いていただきました。環境問題を考える上で、感情的な論議だけでなく、地に足のついた論議及び対策が必要なことをあらためて認識しました。また、今回は文科系の学部の学部長先生に、山口大学と環境教育について投稿していただきました。田中晉先生には、「人類の営みがもたらしたもの」、友永進先生には「環境汚染とのたたかい」、平野充好先生には「山口大学と環境保全」について力作を頂戴し、誠にありがとうございました。
 また、それぞれの学部の先生方にも、環境についての執筆していただき、お忙しい中、誠にありがとうございました。
 環境保全を考える場合、最も基本となるのは、私達のライフスタイルであると思います。ライフスタイルが、現在の様に、多量消費経済に依存している限り、環境汚染問題はなくならないと考えられますし、また、現在ではダイオキシン等の環境ホルモン問題が主に論議されていますが、これからの科学の発展に伴い、分析技術が進歩してまいりますと人体に悪影響を及ぼす科学物質の数が増大し、益々、深刻になるものと思われます。この様な状況を考えますと、21世紀における人類共通の課題である環境問題は、科学と生活スタイルと、人間の倫理感の3つの調和により解決しなければならない課題と考えられます。私達は単に企業や行政に対してこれらの問題に対する苦情及び対策を要求するだけではなく、私達自身の環境に対する倫理観や道徳感を向上させる必要がいるのではないかと思われます。一部の自治体では、ゴミ回収の選別を厳しく行う住民運動や、買物袋持参の運動も行われています。この様に、消費者や住民自身が、生活スタイルを変えると同時に、企業や行政の側もこれに対応した対策を取り、地域社会の住民、全員が一体となって取り組む必要に迫られているのはないかと考えられます。私達が住んでいる地球環境を守るためには、上記の様に一体となった活動と同時に、これからの消費物質の量をいかに減らしていくかも重要な課題となってまいります。目前に迫った21世紀には、環境問題を考えなくてもよい、住みよい社会にしたいものです。
 終わりに、忙しい中に御執筆をいただいた諸先生方、及び編集に多大な貢献をいただいた排水処理センターの佐々木先生、藤原先生に深く感謝いたします。


2000年11月8日
芳原達也