使用後のホルマリン水溶液の取り扱いについて


                  排水処理センター   藤原 勇


1.はじめに
 使用後のホルマリン水溶液(ホルムアルデヒドを含む水溶液)の取り扱いについては東大の医学部で使用後のホルマリン水溶液を下水に流したことがニュース等で取り上げられたことは周知のことと思います。山口大学についても、山口県宇部健康福祉センター保健環境部による小串地区への(医学部及び付属病院のある)実態調査が合ったことを聞いた。平成12年8月11日付けの毎日新聞および、防長新聞に「山口大学においても使用後のホルマリンや感染性廃棄物である血液等を未処理のまま流している」と書かれていた。実際にはこれらの記事の垂れ流しは過剰表現である。医学部及び付属病院では感染性廃棄物である血液等が付いた脱綿等は学内の焼却炉において燃焼処理している。使用後のホルマリンは次亜塩素酸を加えて消毒及びホルマリンの分解処理をされた後下水道に希釈して放流されている。小串地区以外のホルマリンを取扱っている農学、理学部では、一部の研究室においては有機系廃液として搬出されている。しかし大部分の研究室では希釈して下水道に放流されていた。これらの実験等ではホルマリンは3−5%濃度の物が用いられ、細胞等を保存するために使用するか、または消毒のために使用される。このため、細胞等を保存するために使用した場合にはサンプルの入れ替え時期には多量に使用済みのホルマリンが発生することになる。
2.学内の対応
 この実態調査の後、大学としてはホルマリンが毒劇物であることを改めて確認し、下水道に希釈して流すことをやめホルマリンは廃液として回収する事が確認された。そして関係部局に改めて通知を出した。排水処理センターではホルマリンは有機系廃液として回収します。従って有機系廃液として搬出されますようご協力ください。ホルマリンは第1類廃液として扱います。回収カードの記入例を図1に示した。
3.その他
法律面からいうと、ホルムアルデヒドは毒劇物であることから決められた管理が必要である。しかしホルマリンを下水道に放流した場合について考えると、下水道法においてはホルムアルデヒドは規制される物質としては含まれていないことから、ホルムアルデヒドその物では規制を受けない。しかしホルマリンを多量に流した場合には、CODまたはBOD値が規制値を超えるかまたはpHが下がることにより排出基準値を満たさない可能性が出てくる。吉田地区の場合、自前の生活排水処理施設が稼働していた時には、希釈されたホルマリンは活性汚泥法による微生物処理が行われていたことになる。
 ホルマリン処理の方法としては、活性汚泥法による微生物処理の他に有機廃液の処理と同様な噴霧燃焼処理がある。ホルムアルデヒドが燃やされて最終的に炭酸ガスと水になる方法である。燃焼現場ではホルマリンは多くの水分を含んでいることからそのままでは燃焼しにくいため、助燃剤と一緒に燃やされる。その他のホルマリンの処理方法としては少量なら活性炭への吸着処理、および次亜塩素酸を加えるホルマリンの酸化分解処理もある。少量のホルマリンを原点処理している事業所では、活性汚泥法による微生物処理、次亜塩素酸を加えての酸化分解処理または活性炭への吸着処理が行われている。