大学院生企画 第8回特別講演会を開催


金沢大学 先進予防医学研究センター 免疫・マイクロバイオーム部門 
特任准教授 平安 恒幸 氏 

報告者:山口大学大学院連合獣医学研究科博士課程3年 辻 竣也

1.日時 
 20190117日 17:00 - 18:30

2.企画者 
 山口大学大学院連合獣医学研究科 獣医学専攻 大学院生一同

 3.代表者 
 辻 竣也

4.内容、目的 
 大学院生の視点から、各研究分野で活躍されている若手の先生をお呼びして講演を行っていただきます。また、講演では、先生自身のキャリア形成についても触れていただき、大学院生の将来や研究生活に関して意見をいただくことで自身のキャリア形成の参考にします。講演会には学部を問わず多くの学生にも参加を促し、大学院進学への興味を持ってもらうきっかけにしてもらうという目的も含まれています。

5.概要
 今回は、日本における白血球レセプター複合体研究の第一人者である、金沢大学 先端予防医学研究センター 免疫・マイクロバイオーム部門 特任准教授 平安恒幸先生にお越しいただきました。平安先生は、日本で数少ない白血球レセプター複合体の研究者であり、白血球レセプター複合体遺伝子の多様性や、新規リガンドの同定、その機能解析を幅広く行われています。また、平安先生は、若手の研究者として、大きな研究費を取られており、大学院生にはロードマップとして非常に価値のあるお話を伺うことができました。
 講演会の詳細な内容については次ページに記します。

6.参加人数
 今回は、鹿児島大学にも遠隔配信を試み、山口大学で36人、鹿児島大学で4人程度の方にご参加いただきました。

7.講演内容
 免疫は、異物である非自己を排除するための生体防御システムであり、このような免疫の活性や抑制には免疫細胞が発現する活性化レセプターや抑制化レセプターが重要な役割を担っている。これら免疫レセプターの中でも特に白血球レセプター複合体と呼ばれる免疫レセプター群は、他の免疫レセプターとは異なり極めて多様性に富んだユニークな特徴を示す。白血球レセプター複合体には、Leukocyte Immunoglobulin-Like Receptor (LILR)ファミリーやKiller Immunoglobulin-like Receptor (KIR)ファミリーなどの多重遺伝子ファミリーがコードされており、ヒトとマウス種間において遺伝子の数が大きく異なる。さらに白血球レセプター複合体は、人類集団内においてもコピー数多型や機能的SNPsなどの遺伝的多様性を示し、大きな個体差を生み出している。しかしながら、白血球レセプター複合体は、マウスモデルが確立していないため、生理的な機能については十分理解されていない。
 平安先生らの研究から、ある種の病原微生物や腫瘍細胞は、白血球レセプター複合体の抑制化レセプターを利用して、宿主の免疫から逃れることが明らかとなってきた。一方で、白血球レセプター複合体の活性化レセプターは、免疫から逃れた病原微生物を検知する役割を担っていることもわかってきた。このことから、白血球レセプター複合体は、病原微生物や腫瘍細胞といった非自己の免疫逃避機構に関わる免疫レセプター群として進化を遂げてきた可能性が考えられる。

8.質疑応答
 今回は、大学院生のみならず、学部生からも質問が出て、活発なディスカッションが行われました。

9.まとめ
 研究についての深い話だけでなく、先生ご自身の研究生活についても講演していただいたことで大学院生だけではなく教員の方や学部生にとっても刺激的な講演会になったと感じました。開催時期も、前回の反省を生かし、長期休業前に行ったことで、学部生も多く参加してくれたと感じました。

10.反省点
 今回、金沢から講師の先生をおよびしていたので、降雪による交通網の麻痺が懸念されました。遠方、特に雪国からお招きする際は、夏場にセミナーを開催するべきであったと反省しております。



 
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