研究科長挨拶
 
 




               





 

 
平成21(2009)年4月から、山口大学大学院連合獣医学研究科(UVY)長に再任されました田浦保穗です。UVYは、平成2年4月に山口大学、鳥取大学、宮崎大学及び鹿児島大学の各農学部獣医学科等が連合編成して設置され、今年で創立20年となります。残念ながら、平成22年度から宮崎大学がUVYから離脱される予定ですが、今後も重責を楽しみつつ、皆様と共に前進できたらと思っています。世界的不況の中、大学へも資金減少の波が押し寄せておりますが、山口大学スピリッツ:共同・共育・共有のもと、生き残りをかけて我々も頑張っています。

 公共事業など、税金を投入するプロジェクト事業等において、@安定的に利益がでる経済性、A安全を保障する技術的信頼性、B環境に大きな負荷を与えない対策(経済・技術・環境)の3つが不可欠だと指摘されています。


 今年は、国立大学の法人化後6年目で、今期の中期目標期間の法人評価や認証評価、さらに次期目標等の設定の年です。PDCA(Plan→Do→Check→Action→)サイクルは、@自己目標の設定、A目標達成活動、B達成状況や過程等の自己評価(意欲・能力・実績)、C改善のための検討を、サイクルで行うものです。これらを参考に、私達も、UVY-Network誌などで、自己点検・自己評価し公開しています。

 私達は、以下に列挙した昨年度の改革から、さらに飛越するために、教育研究の充実に努力しています。@「明日の山口大学ビジョン〜創立200周年を超え2020年にキラリと光る大学へ〜」を基本にした「UVY憲章」作成、A社会人や外国人留学生等の受入、優秀な人材の獲得を重視した入試方法の検討、及び10月入学や他の研究機関との連携大学院の立ち上げ、B大学院教育の実質化のために、英・和文によるE-leaningシステム(インターネット上での講義の視聴)の構築、C外国の大学等との学術交流協定、D学生が獣医学共通ゼミナールへ出席するための交通費の一部援助や開催場所等の再考、E教員の代議委員を「総務企画担当」と「学務担当」に分け、きめ細かい指導体制の確立、F外部資金獲得、G貴重な予算の適材適所配分…等など

 昨年度も、四大学が連携し、各種教育研究プログラムに申請しましたが、採択率向上には知恵・情報・技が必要です。文部科学省の教育研究方針のキーワードは、@大学院教育研究の充実、A国際化、Bネットワーク等であり、さらに、大学が連携し「共同設置学部」や「共同設置大学院」の可能性も出てきました。

 ♪私は不思議でたまらない、黒い雲からふる雨が、銀に光っていることが
    私は不思議でたまらない、あおい桑の葉食べている、蚕が白くなることが
    私は不思議でたまらない、誰もいじらぬ夕顔が、一人でパラリと開くのが
    私は不思議でたまらない、誰に聞いても笑ってて、当たり前だ、ということが。


 これは、長門市出身の、童謡詩人「金子みすヾ」さんの「ふしぎ」という詩です。当たり前ということを、証明するのは大変です。当たり前なことが不思議でたまらないといった知的好奇心…世の中を動かし未来を切り開いてきたのは、人間のもつ知的好奇心だと思われます。「黒い雲から降る雨が何故銀色か?」「緑色の桑の葉を食う蚕が何故白いのか?」「夕顔の花が何故ひとりでに開くのか?」・・・

 「何故クラゲや蛍は光るのか?」・・・「ふしぎ」はノーベル賞にも繋がります。

 UVYは、西日本唯一の獣医学の博士課程であり、国内外で活躍できる獣医学博士を輩出し続けています。今年度に成人式を迎えますが、経費や環境等…ECOを考慮して、今年も前進したいものです。 
2009年4月




UVYの成人式を前に・・・
ふしぎはノーベル賞に繋がる

   
 
    連合獣医学研究科長
         田 浦 保 穗