研究科長挨拶

2014年4月 

連合獣医学研究科設置25周年(2015)を目前に


   

連合獣医学研究科長
佐藤 宏

2014年の4月から研究科長に就任しました。ここで改めて本研究科の歴史を振り返ってみますと、来年、2015年には設置25周年を迎えます。本研究科の構成大学は、鳥取大学、宮崎大学(2010年離脱)、鹿児島大学、山口大学の4大学でスタートし、20143月までに総計○○○名余(うち留学生○○○名)に学位を授与してきた堂々たる教育・研究機関へと発展してきました。2008年以降、独立行政法人農業生物資源研究所、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所、国立感染症研究所、日本中央競馬会と連携大学院協定を締結し、構成3大学がそれぞれにもつ独自の研究風土に加えて、入学生の多様な要求に応えられる研究指導体制を充実させています。

大学院での4年間は、大学までの教育で培ってきた力を、それぞれの個性と努力によって新たに芽生えさせる貴重な期間です。高級技術職としての獣医師あるいは関連領域の皆さんが、獣医療と獣医学分野、更には関連科学分野で科学者として活躍するための鍛錬を受ける貴重な時間です。大学院教育には大きな社会的投資と自己投資が行われ、個人の日常的な損得勘定から離れた「能力集中」が行われる貴重な時間です。山口大学憲章の基本理念には「発見し・はぐくみ・かたちにする 知の広場」とならんと掲げられています。研究においては、個人の全能力を注ぐことでこそ新たな事象の発見があり、個人の全能力を傾けた意義づけがあってこそ新たな事象の理解が進み、個人の全能力が注がれる説明があってこそ周囲の理解が得られて、ひいては国際的な知的共有あるいは地域社会への研究成果還元へと繫がっていきます。その初体験をするのが大学院教育です。「実験室での試験管振り」は誰にでもできそうな単純作業に見えますが、それが「かたち」になることもあれば、ならないこともあります。見映えのわるい「かたち」にとどまることも、輝きをもつ「かたち」になることもあります。すべては科学者としての鍛錬が行われる大学院教育を通して、自分自身を如何に育むかという努力にかかっています。皆さんの夢の実現に向けて、豊富な研究設備と充実した研究指導者を抱える本研究科は大いなる支援を惜しみません。「瑠璃も玻璃も照らせば光る」。まずは自分で自分の可能性に光りを当ててください。研究科は更なる可能性と個性を皆さんの輝きとして磨きあげます。

設置25周年を目前に、本研究科では更に充実した大学院教育に取り組み、社会の要請に応えられる人材養成を実現することを約束いたします。21世紀が抱える多種多様な課題の本質理解とその解決には、大学院教育を通して自己啓発・自己研鑽を重ね、課題解決に「成功」体験をもった個性ある創造的人材が欠かせません。年齢・性別を問わず未来への挑戦を行う皆さんを、研究科として、大学として、社会として支援していきます。

2014年4月吉日