第2回山口大学国際シンポジウムが開催されました。

今回のテーマは「国際協力活動における大学と民間企業の連携」

 

山口大学では、中国地方の大学が国際協力活動の実施において直面している共通の課題、単独の大学では解決が困難な課題について、外部有識者を交えて議論しその解決に努めることを目的として、国際シンポジウムを継続的に開催することとしました。

今回は本年2月に続く第2回シンポジウムを、「国際協力活動における大学と民間企業の連携」のテーマで7月22日(水)に本学大学会館会議室で開催しました。

開発途上国での国際協力活動では、学術的な理論面とその応用技術の双方が求められることが多く、大学の持つ知見と民間企業の技術や経験が連携することにより、より効果的な協力活動が可能になると考えられています。更に、ODA事業に参画するには、事業発注者側との交渉、複雑な事務処理などが発生するため、こうしたことに不慣れな大学に代わり、民間企業の経験でこれを補完することの必要性を、文部科学省、JICA等も指摘しています。こうした大学と民間企業との連携にはどのような課題があり、どのような効果が期待できるのかを考えるのが今回の目的でした。

シンポジウム開催日の前日21日には山口県を記録的な豪雨が襲い、県内各地で大きな被害が出るといった悪条件でしたが、約40名の参加者がありました。

 

丸本卓哉学長は開会挨拶のなかで、天候条件の悪い中で遠方からの参加者も含め第2回シンポジウムが開催できたことに対する謝辞を述べた上で、山口大学は県内の大学外の多くのリソースと連携した国際協力活動を目指していることから、今回シンポジウムの成果への期待を述べた。

問題提起に移り、民間企業との連携経験を持つ九州大学工学研究院の糸井龍一教授や、大学と連携してJICA事業を実施した民間企業の泉泰雄氏(国際開発政策研究所副社長)、三島一夫氏(コーエイ総合研究所取締役)から、経験に基づく示唆に富む多くの報告がありました。各報告者の問題提起での共通する内容は、相互の組織形態の違いによる誤解などもあり、有効な共同関係を築くにはいくつかの障害もあったが、最終的には両者の有する長所を生かし、効果的な事業が実施できたというものでした。糸井教授からは、大学教員がこうした国際協力活動に参加することに対する大学内の理解不足や支援体制の課題など、山口大学にとっても参考となる貴重なお話を聞くことができました。

問題提起の後は、大学で国際協力関係の活動を積極的に推進する立場の關谷武司准教授(関西学院大学国際教育プログラム室)、土生英里准教授(山口大学経済学研究科公共管理コース委員会委員長)、大学と民間企業による多くのODAプロジェクトを管理する立場の渡辺雅人氏(国際協力機構人間開発部次長)にも加わって頂き、大学が国際協力活動に参画する意義やその場合の多くの課題、問題点について意見交換がなされました。  

最後に、参加者全員での意見交換を行い、岡山大学、広島経済大学からも、それぞれの大学における国際協力活動への課題などが報告されました。

 

今回も山口大学の他、岡山大学、広島経済大学、関西学院大学からの参加があり、他大学との情報共有と連携しての問題解決を目指す本シンポジウムの位置づけが確認されたように感じました。次回は、11月下旬もしくは12月初旬に「国際機関と大学の連携」をテーマに開催する予定です。

(国際戦略室・今津)