山口大学第3回国際シンポジウム開催される!!

国際開発機関等関係者を講師に、学生も交え活発な議論が行われました

 

開発途上国の人材育成(留学生受け入れを含む)を含め、開発途上国への支援、即ち国際協力活動を推進することを、
社会貢献の一環として目指している大学も増えてきています。しかし、地方の大学においては国際関係の情報への
アクセスや、教職員の意識において、国際協力活動を円滑に推進する状況が十分に整備されているとは言えません。
このため、山口大学では本学の教職員及び中国地方の大学間で、国際関係の情報を共有することを目的とし、
また地方大学が連携して国際協力活動に参加するためのネットワーク作りを進めることを目指して、本年
2月より
「山口大学国際シンポジウム」を開催しております。

この国際シンポジウムの第3回が、123日(木)午後1時から、山口大学 大学会館で、九州大学、山口県立大学、
岡山大学、山口大学の教員に加え、山口大学、山口県立大学の学生(留学生を含む)、市民の方を含め約
70名が
参加して開催されました。




吉田一成 学長特別補佐の開会挨拶


今回のテーマは「国際開発機関と大学の連携」で、国連開発計画(UNDP)、世界銀行(WB)、アジア開発銀行(ADB
3国際開発機関に加え、文部科学省、外務省から計5名の講師を迎え、参加者との意見交換も含め大変有意義で内容の
あるシンポジウムになりました。
5人の講師は次の通りで、これだけ豪華な陣容で国際開発機関に関する議論が出来たことに、
参加者からも驚きと高い評価をいただきました。

講師の方々 (発表順)

 ・国連開発計画(UNDP)   東京事務所 広報官         西郡  俊哉

 ・世界銀行(WB)     東京事務所 広報官            大森 功一

 ・アジア開発銀行(ADB)   駐日代表事務所 次席          日向 俊一

 ・文部科学省 大臣官房国際課国際協力政策室 国際協力調査官  岩井 淳武

 ・外務省 総合外交政策局国際機関人事センター 課長補佐      増尾 秀樹

 

1部では「国際開発機関が大学に期待するもの〜大学との連携事例から〜」のテーマで、UNDPWBADB3人の講師から、
それぞれの機関の役割や業務、そうした業務における大学の参加事例などが紹介されました。第
2部では「国際機関で働くには」
と題し、第
1部で話された講師に文部科学省、外務省の講師を加え、日本の若者が国際機関で働くことの意味や、そのために求め
られる資質などが紹介されました

1部での各講師の発表要旨は以下の通りです

UNDPの西郡広報官は、国際開発機関と大学の共通の利益となる連携には、日本の人材と知見が必要であると指摘され、国際
人材育成の事例として、国連ボランティアの制度を活用した関西学院大学の「
UNITeS」プログラムや法政大学の「国連本部ツアー」
などを紹介されました。今後は国際公務員を多く輩出する人材拠点としての大学が必要であり、また、地方における国連機関の広報
拠点として大学との連携も必要になると話されました。
資料(1)

WBの大森広報官は、2050年には92億人にも達する世界人口に、どのように私たちは対応できるのかと問いかけた後、途上国政府
に協力する世界銀行の活動を紹介されました。しかし、世界の課題には世界銀行だけでは対応しきれないのは明らかで、今後大学や
市民団体が途上国に対して支援を行うことが期待され、そうした面で世界銀行との連携も必要になると話されました。また、世銀は
各種事業(計画策定、事業実施・管理、評価)を外部に発注しているが、民間、大学、
NGO等からのプロポーザルにより実施者を
決定する方法で、大学に委託する特別の事業枠があるわけではないと説明されました。
資料(2)
 世界銀行WEBサイトもご覧ください。

ADBの日向次席は、大学とはキャリアセミナーや講義に職員を派遣するといった間接的な連携の他、ビジネス・パートナーとして
大学が
ADBにコンサルタント・サービスを提供するということがあるが、英語でのプロポーザル作成等、日本には不利な面があると
説明されました。また、大学との連携での経験から、連携事業において大学が組織的に対応するという体制が、特に国立大学法人では
困難であると感じたと指摘されました。資料(3)



講師による問題提起


2部での各講師の発表要旨は以下の通りです

まず、文部科学省の岩井調査官は、「青年層の国際意識の変容とグローバル化に対応する人材育成への期待」と題して、最近の
青年層の意識が内向きとなり青年海外協力隊や
JPO(Junior Professional Officer) への応募者の減少を指摘した上で、文部科学省として
も大学教育を通じた国際協力人材の育成に務める方向であることを説明されました。その中で、広島大学、帯広畜産大学などが取り
組む国際人材育成のプログラムを紹介されました。資料(4)

外務省の増尾課長補佐は、「国際公務員への道」と題して、国連職員の業務やその採用方法などを詳しく説明されました。その上で、
日本の青年が国際機関で実務経験を積む機会を提供し、その経験を踏まえて国際公務員への進路を歩む支援として外務省が実施している
JPO制度について説明され、日本人がより多く国際公務員になることが望まれる背景などについて話されました。

WBの大森広報官資(資料5)ADBの日向次席(資料6)(資料7)からは、それぞれの機関の役割や日本人職員の現状、職員に
求められる資質、採用方法などが詳しく説明されました。その中で、国際社会で働くにはまず修士号以上の学位を持つことが望ましく、
かつ高い英語力と専門性が求められ、途上国での経験、計画策定能力、物事への柔軟な対応力が望ましい資質であることが説明されました。

最後にUNDPの西郡広報官から、将来国際開発機関をめざす学生に対し、以下の応援メッセージをいただきました。

1.チャンスは自分で作る。そのためには多くの人びととのネットワークが重要

 2.粘り強く努力する。やりたい仕事は与えられるものでなく、やらせてもらうための努力が必要

 3.国際機関では一人一人の職員が大きな役割を担うが、そのためには決意と覚悟が必要

 

1部、第2部とも内容のある有意義な発表を受け、会場からも教員だけでなく留学生、日本人学生から活発な質問が出されました。
特に、国際関係の第一線で働く
5人の講師の方の「モットー」はという学生の質問に、各講師は自分の仕事や人生を踏まえ、真剣に答
えて下さいました。



活発な会場からの質問


皆さんのお答えを要約すると、「やらないと始まらない」ということになったでしょうか。このことは、山口大学の国際化についても
当てはまるように感じました。

(文書責任:今津)