第3回難治性疾患トランスレーションセミナーを開催しました
山口大学新呼び水プロジェクト「難治性疾患トランスレーション研究拠点」の成果発表と研究交流を目的とした第3回難治性疾患トランスレーションセミナーを、3月14日に医学部霜仁会館にて開催しました。
今回の世話役の山﨑教授より開催の挨拶の後に、がん創薬研究ユニット(ユニット長:臨床検査・腫瘍学、山﨑教授)からは、末廣先生(臨床検査・腫瘍学)が便や血液の遺伝子メチル化解析は大腸がんの診断に有効であることを示しました。藤澤先生(再生医療教育センタ−)は鉄キレート剤が肝がん細胞および膵臓がん細胞のマウスでの腫瘍形成に顕著な抑制効果を示すことを明らかにしました。山崎教授は、独自に開発した肝細胞がんへの鉄キレート剤による治療法の進展を報告されました。免疫治療開発ユニット(ユニット長:免疫学、玉田教授)からは、松井先生(消化器•腫瘍外科学)がHSP70ペプチドを標的とした樹状細胞療法の臨床試験の状況と新たなアジュバントの利用による効果の増強について示されました。疾患ゲノムユニット(ユニット長:医化学、中井)からは、佐藤先生(産科婦人科学)が子宮筋腫の診断にDNAメチル化を指標とする診断法が有効であることを示されました。そして、藤本先生(医化学)はHSF1を介するゲノム修復機構を明らかにし、それがある種の乳がん細胞の治療ターゲットになる可能性を示しました。
本研究拠点は平成26年度より坂井田前医学研究科長を代表として上記の3つのユニットで発足しました。本年度は新呼び水プロジェクトとしての最終年となる3年目であり、さらに産学連携で成果の著しいグループが再生・細胞治療センタ−として独立するという大きな転換点となりました。研究発表では、基礎研究及び臨床研究ともに共同研究を進めることで、がんを含む難治性疾患の解明に向けた大きな進展が見られており、研究交流の重要性を実感させるものでした。
(研究拠点代表 医化学、中井 彰)