熱ショック応答におけるメディエーターキナーゼモジュールの役割を解明
MED12 interacts with the heat shock transcription factor HSF1 and recruits CDK8 to promote the heat shock response in mammalian cells.
Pratibha Srivastava, Ryosuke Takii, Mariko Okada, Mitsuaki Fujimoto, and Akira Nakai.
FEBS Letters (2021) in press. DOI: 10.1002/1873-3468.14139 (First published May 31)
熱ショック応答は、熱ショックタンパク質(HSP)などの発現を介してプロテオスタシスのバランスを担う進化的に保存された重要な適応機構である。活性化されてHSP70プロモーターへ結合したHSF1は、熱ストレス条件下でRNAポリメラーゼIIの集積を促進する。ショウジョウバエや酵母において、この過程はコアメディエーターによって促進されることが知られている。もう一つのCDK8キナーゼモジュールCKM(MED12とCDK8キナーゼを含む)は、一般に転写を正にあるいは負に調節することが知られている。しかし、HSF1を介する転写過程でCKMがどのような役割を担うかは不明である。私たちは本研究で、哺乳動物細胞においては、HSF1が熱ストレス条件下でMED12と相互作用し、HSP70プロモーター上へMED12とCDK8をリクルートすることを明らかにした。CDK8とそのオルソログであるCDK19のキナーゼ活性は少なくとも活性と関連するHSF1-S326をリン酸化することでHSP70発現を促進し、プロテオスタシス容量を維持していた。これらの結果は、タンパク質毒性ストレスに対してCKMが重要な防御機能を担っていることを示唆する。