Srivastavaさんが学位を取得しました

 

Pratibha Srivastavaさん(インド人留学生)が2021年9月に医学博士の学位を取得しました。学位論文は「熱ショック応答におけるメディエーターキナーゼモジュールの役割」(FEBS Letters誌に掲載)です。誘導性遺伝子発現機構の転写過程では、コアメディエーターがRNAポリメラーゼII(Pol II)と直接相互作用することで基本転写因子群(GTFs)とPol IIから成る転写開始前複合体(PIC、pre-initiation complex)形成を促進することはよく知られています。熱ショック応答の転写機構においてもコアメディエーターとGTFsがPol IIリクルートを促進することは知られていますが、メディエーターキナーゼモジュール(CDK8あるいはCDK19、CCNC、MED13、MED12)の役割については不明でした。Srivastavaさんは、MED12がHSF1と相互作用し、HSP70プロモーターへCDK8をリクルートすることを見出しました。そして、CDK8を含むメディエーターキナーゼモジュールは、HSF1-S326をリン酸化することを明らかにしました。以上の結果は、HSF1-S326リン酸化を介するPIC形成の促進機構を示し、リン酸化によるPIC形成ががんの治療ターゲットとなる可能性を示唆します。