高感度メチル化解析技術を用いた血清DNA検査による大腸腫瘍スクリーニング(臨床検査・腫瘍学、消化器内科学)
Blood free-circulating DNA testing by highly sensitive methylation assay to diagnose colorectal neoplasias.
Suehiro Y, Hashimoto S, Higaki S, Fujii I, Suzuki C, Hoshida T, Matsumoto T, Yamaoka Y, Takami T, Sakaida I, Yamasaki T.
Oncotarget 2018 Mar 30;9(24):16974-16987.
【目的】我々は大腸腫瘍組織においてTWIST1遺伝子のメチル化が高頻度に生じていることを世界で初めて報告している。また、微量検体より高感度にメチル化レベルをデジタルPCRで測定する方法も開発している。今回我々はメチル化TWIST1をターゲットとした血清DNA検査および便潜血検査併用による大腸腫瘍のスクリーニング精度を検証するために本研究を行った。
【方法】 内視鏡的に大腸腫瘍を認めなかった被験者25名(コントロール群)、直径1cm未満で高度異型や絨毛状成分を有さない腺腫患者25名(非進行腺腫群)、直径1cm以上あるいは高度異型や絨毛状成分を有する腺腫患者70名(進行腺腫群)、大腸癌患者18名(うちステージIは14名)を解析対象とした。被験者の血清検体よりDNAを抽出し、メチル化感受性制限酵素処理後、デジタルPCRにてメチル化TWIST1コピー数を計測した。
【結果】メチル化TWIST1コピー数の中央値はコントロール群0.0、非進行腺腫群1.9、進行腺腫群1.7、大腸癌群1.8であった。検査感度はそれぞれ36.0%、30.0%、44.4%、検査特異度は92.0%であった。一方、便潜血検査単独での検査感度はそれぞれ8.0%、24.3%、44.4%、検査特異度は88.0%であった。さらに、便潜血検査と便DNA検査の組合せで検討したところ、検査感度はそれぞれ40.0%、45.7%、72.2%、検査特異度は84.0%であった(図1)。
図1 大腸腫瘍スクリーニング精度
【結論】血清DNA検査と便潜血検査の組合せにより大腸腫瘍のスクリーニング精度が向上する可能性が示唆された。