進行再発大腸癌に対するペプチドワクチン療法における抗ペプチド抗体の誘導と予後解析(消化器・腫瘍外科学、先端がん治療開発学、近畿大学、高知大学、慶応大学、米国ロズエルパークセンタ−、久留米大学)


Kanekiyo S, Hazama S, Takenouchi H, Nakajima M, Shindo Y, Matsui H, Tokumitsu Y, Tomochika S, Tsunedomi R, Tokuhisa Y, Iida M, Sakamoto K, Suzuki N, Takeda S, Yamamoto S, Yoshino S, Okuno K, Udaka K, Kawakami Y, Matsueda S, Ito K, Nagano H.
IgG response to MHC class I epitope peptides is a quantitative predictive biomarker in the early course of treatment of colorectal cancer using therapeutic peptides.
Oncol. Rep. 2018 May; 39(5): 2385-2392.

【はじめに】近年ペプチドワクチン療法は、がん治療に対する新たな治療法として開発が進められてきたが、一方でその臨床効果は未だ限定的である。この問題を克服する方法の一つとして、免疫療法のバイオマーカー探索があげられる。我々は、これまでに多施設共同研究としてOncoantigen(KOC1、TOMM34、RNF43)と血管新生関連分子(VEGFR1、VEGFR2)由来エピトープペプチド合計5種類を用いて、進行再発大腸癌に対するmFOLFOX6へのエピトープペプチド上乗せ効果を検討する第II相試験を施行した。今回、使用したペプチドに対する血中抗体価を測定し、その抗体価がワクチン療法のバイオマーカーとなるかを検討した。
【方法】登録された96例のうち血中抗体価を解析可能であった89例において、登録症例のワクチン投与前ならびにワクチン投与3ヶ月後の血漿を用い、Luminexを使用したマイクロサスペンジョンアレイにて5種類のペプチドに対する抗体価を測定した。さらに、抗体価を指標として生存期間を検討し、ペプチドに対する抗体価が予後予測マーカーとなり得るかを検討した。
【結果】ワクチン投与後に、5種類すべてのペプチド抗体価が優位に上昇していた(表1)。ペプチドごとの解析では、HLA-A * 2402適合群において、VEGFR2に対する抗体が誘導された症例は有意に予後良好であった(p=0.050)(図1)。VEGFR1およびVEGFR2に対するCTL誘導は、HLA-A * 2402適合群において優位に増加していたが、これらは予後とは相関しなかった。Cox回帰モデルによる多変量解析では、VEGFR2に対するIgG応答が、HLA-A * 2402適合群における全生存率の最も重要な予測因子であった(p = 0.04)(表2)。
【考察と結語】VEGFR2に対するIgG応答が、大腸癌ペプチドワクチン療法における予後予測マーカーとなる可能性が示唆された。


図1. VEGFR2に対する抗体が誘導された症例は有意に予後良好である。