オメガ3脂肪酸およびルテインの摂取は加齢黄斑変性マウスの病態進行を抑制する(眼科学講座、参天製薬、米国ハーバード大学)

Attenuation of choroidal neovascularization by dietary intake of ω-3 long-chain polyunsaturated fatty acids and lutein in mice.
Yanai R, Chen S, Uchi SH, Nanri T, Connor KM, Kimura K. 
PLoS One 13, e0196037, 2018. doi: 10.1371/journal.pone.0196037.

  加齢黄斑変性(AMD)は、欧米では主要な失明原因とされており,本邦でも増加している疾患です。本研究ではオメガ3脂肪酸およびルテイン/ゼアキサンチンのAMDの予防や進行抑制に対する実効性を検証しました。レーザーで脈絡膜新生血管(CNV)を誘導したAMDモデルマウスに,オメガ3脂肪酸食あるいはオメガ6脂肪酸食をそれぞれ2週間与え、同時にルテインも1週間毎日経口投与してからCNVを誘導し、その1週間後に眼球摘出して評価しました。その結果、オメガ3脂肪酸食のみ、あるいはオメガ6脂肪酸食+ルテイン投与マウスと比べて、オメガ3脂肪酸食+ルテイン両方を投与したマウスで有意なCNV退縮がみられました(図1)。酸化作用を持つタンパク質であるNOX4を用いて網膜の酸化ストレス状態を確認したところ、オメガ3脂肪酸食+ルテインマウスの抗酸化作用が最も強く、次いでオメガ3脂肪酸食のみ、その次がオメガ6脂肪酸食+ルテインの順でした(図2)。以上より、オメガ3脂肪酸とルテインの両者を摂取することによって、AMDの予防効果が増強することが示唆されました。

 

:PLOSOne 柳井 概略図1.pdf

図1 脈絡膜新生血管の評価

 

:PLOSOne 柳井 概略図2.pdf

図2 網膜の酸化ストレス状態