熱ショック蛋白質誘導剤(ゲラニルゲラニルアセトン)を用いた老人性難聴モデルマウスの難聴進行の抑制

 T. Mikuriya, K. Sugahara, K. Sugimoto, M. Fujimoto, T. Takemoto, M. Hashimoto, Y. Hirose, H. Shimogori, N. Hayashida, S. Inouye, A. Nakai, H. Yamashita. Attenuation of progressive hearing loss in a model of age-related hearing loss by a heat shock protein inducer, Geranylgeranylacetone. Brain Research, 1212:9-17, 2008.

  老人性難聴は高齢者のQOLを低下させ、超高齢化社会の日本では深刻な問題であるが,その原因は未だ不明である。我々は生体が持つ根幹的なストレス応答である熱ショック応答に着目し研究を行った。早期進行性難聴モデルマウスDBA/2Jは4週齢より内耳障害により難聴を示し徐々に進行するが,本研究において内耳における熱ショック蛋白質の発現が加齢とともに減少することが明らかになった。逆にこのモデルマウスに熱ショック蛋白質誘導剤GGA(Geranylgeranylacetone)を飼料とともに摂取させると,内耳に熱ショック応答が誘導され,難聴の進行が抑制された。進行性難聴モデルにおいて難聴が抑制されたとする報告はこれまでになく,熱ショック応答が細胞傷害に関わる様々なpathwayを協力に制御している結果であると考えられた。今回使用した熱ショック蛋白質誘導剤は既に臨床的に使用されている薬剤であり,今後,新たな内耳治療の一手段になると考えられる。

 

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