新たな創傷治癒促進薬の開発

 Yamada, N., Yanai, R., Kawamoto, K., Nagano, T., Nakamura, M., Inui, M., and Nishida, T. Promotion of corneal epithelial wound healing by a tetrapeptide (SSSR) derived from IGF-1. Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 47:3286-3292, 2006.

  角膜創傷治癒においてIGF-1とサブスタンスPは協調的に働き、創傷治癒を著明に促進する。サブスタンスPは、C末端の4つのアミノ酸からなるFGLM-amideペプチドで置き換えることが出来る。今回、IGF-1についての検討を行った。その結果、IGF-1の効果はこれまで機能が知られていないCドメインに局在し、その中の4つのアミノ酸からなるSSSR配列が必須であることを明らかにした。さらに合成したSSSRペプチドは、IGF-1と同等の作用を示した。また、高濃度のSSSRペプチドは、サブスタンスP或いはFGLM-amideの非存在下でも作用を発揮し、SSSRペプチドの感受性を高めていることが明らかとなった。SSSRペプチドは、IGF-1とは異なりIGF受容体を介した様々な生物活性を示さない。このように、SSSRペプチドは副作用の少ない創傷治癒促進薬として極めて有望である。