HSF1は肝細胞がんの発症および予後と関連している(北海道大−医化学分野)

M. Chuma, N. Sakamoto, A. Nakai, S. Hige, M. Nakanishi, M. Natsuizaka, G. Suda,  T. Sho, K. Hatanaka, Y. Matsuno, H. Yokoo, T. Kamiyama, A. Taketomi, G. Fujii, K. Tashiro, Y. Hikiba, M. Fujimoto, M. Asaka, and S. Maeda. Heat shock factor 1 accelerates hepatocellular carcinoma development by activating nuclear factor κB/ mitogen-activated protein kinase. Carcinogenesis (2013) doi: 10.1093/carcin/bgt343

熱ショック因子HSF1は細胞のプロテオスタシス容量の調節を担う、進化的に保存された太古の転写因子である。すでに、乳がん、肺がん、大腸がん、悪性黒色腫などのいくつかのがん細胞との関連が指摘されている。今回、北海道大学消化器内科学分野の中馬誠講師らは、山口大学医化学分野と共同で、ヒトの肝細胞がんにおいてもHSF1の発現が亢進しており、ERKキナーゼの活性化と関連していることを明らかにした。また、HSF1及びそのターゲットであるBAG3の発現は、予後とも有為な相関があった。これらの結果は、肝細胞がんの治療ターゲットおよび予後因子としてHSF1が重要であることを示唆している。