核内受容体群と神経細胞内封入体の相互作用を解析

Intracellular colocalization of HAP1/STBs with steroid hormone receptors and its enhancement by a proteasome inhibitor.

Fujinaga R, Takeshita Y, Yoshioka K, Nakamura H, Shinoda S, Islam MN, Jahan MR, Yanai A, Kokubu K, Shinoda K. 

Exp Cell Res., 317, 1689-1700, 2011.

 Stigmoid body (STB)はハンチントン病関連タンパク質 huntingtin-associated protein 1をコア分子とする神経細胞質内封入体で、HAP1遺伝子の細胞内導入により誘導形成される。また我々は以前にHAP1/STBがポリグルタミン病の球脊髄性筋萎縮症の原因蛋白質であるアンドロゲン受容体とpolyQ長依存性に結合することを報告した。本研究では、HAP1/STBと種々のステロイドホルモン受容体の相互作用についてCOS-7細胞を用いて検討した。その結果、HAP1/STBはアンドロゲン受容体に加え、エストロゲン受容体、ミネラルコルチコイド受容体、グルココルチコイド受容体のC末端に存在するリガンド結合ドメインとの結合能を有することが初めて明らかにされ、さらに全長蛋白質を用いた場合、アンドロゲン受容体とグルココルチコイド受容体のみが結合することも示された。HAP1/STBとの結合後もアンドロゲン及びグルココルチコイド受容体はリガンド依存性核内移行能を維持しており、HAP1/STBはこれら受容体の機能を阻害しないことも証明された。しかし、HAP1/STB結合受容体の核内移行はプロテアソーム阻害剤の処理により強く抑制されることが示された。これらの結果より、HAP1/STBがプロテアソーム活性と関連してアンドロゲン受容体やグルココルチコイド受容体の核内移行を制御/修飾する可能性が示唆された。