細胞外マトリックスによる角膜上皮の細胞運動に伴う細胞膜形態変化の定量的解析(眼科学分野)
K. Kimura, S. Kawano, T. Mori, J. Inoue, H. Hadachi, T. Saito, and T. Nishida.
Quantitative analysis of the effects of extracellular matrix proteins on membrane dynamics associated with corneal epithelial cell motility. Invest Ophthalmol Vis Sci., 51, 4492-4499, 2010.
角膜上皮細胞は,種々の細胞外マトリックス(ECM)と結合し,細胞接着および運動などの制御を受ける。そこでECMによる角膜上皮細胞の運動方向性と細胞膜形態変化との関連性を定量的に評価するため新たな解析プログラムを開発し,これを用いて検討した。コントロールであるBSA同様,Laminin Iは細胞運動及び細胞膜形態変化はほとんど認められない。Fibronectin, Collagen typeIおよび Collagen typeIVでは,細動運動は亢進した。中でも,Fibronectinは細胞運動の方向性に一致した大きな細胞膜形態の速度変化亢進を認めた。Collagen typeIおよび Collagen typeIVでは,細胞膜形態変化を認めるがこれらと細胞運動の方向性には相関が認められなかった。角膜上皮細胞において,Fibronectinは方向性のある細胞運動に寄与している可能性が示唆された。