脳低温療法はclaudin-5の局在変化を通して血液脳関門の透過性を上昇させる(脳神経外科学—器官解剖学—病理形態学分野)

Inamura A, Adachi Y, Inoue T, He Y, Tokuda N, Nawata T, Shirao S, Nomura S, Fujii M, Ikeda E, Owada Y, Suzuki M. Cooling treatment transiently increases the permeability of brain capillary endothelial cells through translocation of claudin-5. Neurochem Res. 38, 1641-1647, 2013.

血液脳関門は主に脳の微小血管にある内皮細胞によって構成され、これを通過する分子を選択することによって、中枢神経系の細胞を取り巻く環境を、体の他の部位の環境と分ける働きを持っています。一方で、中枢神経系に作用させたい薬を投与する際、この血液脳関門が障害となることがあります。

本研究では、主に培養脳血管内皮細胞を用いて、冷却により血液脳関門が一時的に開くことを確かめるとともに、血液脳関門を構成する主要分子の一つであるclaudin-5が冷却によって機能の場である細胞膜から細胞質へ移行することを見出しました。

本研究によって血液脳関門の制御機構の解明が進むとともに、脳冷却による新たなdrug delivery systemの開発が期待されます。