PDZRN3蛋白質はBMP-2誘発性骨芽細胞分化においてWntシグナルの負の制御因子として働く(分子薬理学)

T. Honda, H. Yamamoto, A. Ishii, and M. Inui.

PDZRN3 negatively regulates BMP-2–induced osteoblast differentiation through inhibition of Wnt signaling.  Mol. Biol. Cell, 21, 3269-3277, 2010.

 PDZRN3は私達が心臓からクローニングしてきた蛋白質で、2つのPDZドメインとC末端にPDZドメイン結合モチーフを持つE3ユビキチンリガーゼである。その機能は、未だ不明な点が多い。これまでに、PDZRN3が間葉系幹細胞から骨格筋への分化に必須であることを明らかにしてきたが、間葉系幹細胞は、骨格筋のみならず骨芽細胞へも分化する。今回、BMP-2により誘導される間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化におけるPDZRN3の役割を検討した。その結果、PDZRN3は、BMP-2により発現が増加すると共に骨芽細胞への分化を抑制した。さらに、この抑制効果は、PDZRN3がWntシグナルを抑制することによってもたらされることが明らかになった。以上の結果から、PDZRN3が、BMP-2による骨芽細胞分化の際のネガティブフィードバックに重要な役割と果たしていること、及びWntシグナルの重要な制御因子であることが明らかとなった。