N-アルキル-2-ベンズアゼピン誘導体の効率的合成法と生物活性の解析(分子薬理学)

 A. Kamimura, M. So, T. Kuratani, K. Matsuura, and M. Inui.

An efficient preparation of N-alkyl-2-benzazepine derivatives and investigation of their biological activity. Bioorg Med Chem Lett., 19, 3193-3195, 2009.

  2-ベンズアゼピン誘導体が表皮細胞の遊走を促進し皮膚創傷治癒促進を有することを明らかにしてきた。この際、2-ベンズアゼピン誘導体は、表皮細胞等の細胞接着性や増殖を促進しないことから新たなメカニズムで皮膚創傷治癒促進作用を発揮すると考えられる。この作用には、N位の構造が活性に重要である。今回、N位の種々の大きさの2-ベンズアゼピン誘導体を効率的に合成できる方法を開発した。この方法で種々のN-アルキル-2-ベンズアゼピン誘導体を合成し、皮膚表皮細胞由来のHaCaT細胞を用いたIn vitro wound healingアッセイで構造機能連関を解析した。その結果、N位がメチル基、エチル基の時に生物活性を有するが、イソプロピル基、ブチル基に時には生物活性が無かった。即ち、その生物活性には、N位の大きさが重要であることが判明した。2-ベンズアゼピン誘導体の本合成法は、作用メカニズム解明に極めて有用である。