角膜線芽細胞におけるLPS,Poly(I:C)及びZymosanにより共通に分泌発現が亢進する因子の同定(眼科学分野)

K. Kimura, T. Orita, N. Nomi, Y. Fujitsu, T. Nishida, and K.H. Sonoda.

Identification of common secreted factors in human corneal fibroblasts exposed to LPS, poly(I:C), or zymosan.

Exp Eye Res., 96, 157-162, 2012.

角膜における細菌、ウイルス及び真菌感染は,進行すると角膜潰瘍をきたすことがある。角膜実質細胞は、これらの感染に反応してサイトカインやケモカインを分泌産生し免疫反応や炎症に寄与する。感染性角膜炎における共通な分泌因子を明らかにするため、前述の起炎菌の代用物としてLPS, Poly(I:C)及びZymosanを用い,角膜線維芽細胞(活性化角膜実質細胞)をこれらで刺激し発現分泌が亢進するサイトカインやケモカインの同定を施行した。その結果LPS はIL-6, IL-8, MCP-1, RANTES, IP-10, eotaxin,IL-12,Poly(I:C)はIL-6, IL-8, MCP-1, RANTES, IP-10, eotaxin, MIP-1 β, INF-γ, Zymosan はIL-6, IL-8, MCP-1の発現分泌が亢進した。そして,IL-6, IL-8, MCP-1はLPS, Poly(I:C)及びZymosan の刺激によって共通にその発現分泌が亢進した.このことからIL-6, IL-8, MCP-1は角膜感染症に対する炎症反応で重要な役割をしている可能性が示唆された。