マウス角膜発生段階でのセマフオリンとその受容体の発現(眼科学分野)

J.A. Ko, Y. Mizuno, R. Yanai, T.I. Chikama, and K.H. Sonoda.

Expression of semaphoring 3A and its receptors during mouse corneal development. Biochem Biophys. Res. Commun., 403, 305-309, 2010.

Semaphorin 3Aは発生の段階で神経ガイダンス因子としてのその役割が重要とされている。その機能には受容体であるneuropilin(Npn)とplexin(Plx)との結合が関わっている。さらに、最近の我々の研究で角膜でのsemaphorin 3Aが様々な創傷治癒に関わっていることがわかっている。今回の研究では角膜発生においてsemaphorin 3Aとその受容体の発現を検討し、角膜細胞の分化にsemaphorin 3Aがどのように関わっているかを調べた。結果として、開瞼の前後で、semaphorin 3Aの受容体の一つであるPlxの発現のlocalizationが顕著に変化していた。つまり、眼を開ける前は角膜上皮層にPlxの発現が認められなかったが、眼を開けた後には角膜上皮層にPlxの発現は顕著に増加していることが明らかになった。このことは、角膜上皮細胞の分化に酸素に触れることが大きな因子であることから、眼を開けて、酸素に触れることでPlxの発現が誘導され、semaphorin 3Aのシグナルを介した角膜上皮細胞の最終分化が促進されていることが示唆された。