熱ショック転写因子HSF1は骨髄幹細胞の動員や集積を制御して虚血組織での血管新生に寄与する(器官病態外科学分野-医化学分野)

Heat shock factor 1 contributes to ischemia-induced angiogenesis by regulating the mobilization and recruitment of bone marrow stem/progenitor cells

Kubo M, Li TS, Kurazumi H, Takemoto Y, Ohshima M, Yamamoto Y, Nishimoto A, Mikamo A, Fujimoto M, Nakai A, and Hamano K.

PLoS One 7, e37934, 2012.

  虚血性疾患において、末梢血中へ動員された骨髄幹細胞が虚血部位に集積することで血管新生に寄与することが報告されている。しかし、骨髄幹細胞の動員や集積といった動態の制御に関して不明な点は多い。一方で、虚血・低酸素応答に熱ショック転写因子heat shock factor 1(HSF1)が関わることが知られている。そこで、本研究では、HSF1ノックアウト(KO)マウスを用いて、組織虚血後の骨髄幹細胞の動態や血管新生におけるHSF1の役割について検証した。

下肢虚血モデルを用いた解析から、Wild typeマウスと比較して、HSF1-KOマウスの虚血下肢では血管新生が低下することが分かった。また、HSF1-KOマウスの骨髄幹細胞では、虚血後の末梢血への動員および虚血部位への集積が抑制されていた。骨髄キメラマウス作製後に虚血下肢での血管新生を評価した結果からも、HSF1が骨髄幹細胞の動員や集積に関与するといった証拠が得られた。

以上の結果から、HSF1は骨髄幹細胞の動員や集積を介して、虚血組織における血管新生に寄与することが示された。