膵β細胞において時計遺伝子DbpArnt/Hif-1ßの発現を制御する(病態制御内科学分野)

 Clock-controlled output gene Dbp is a regulator of Arnt/Hif-1ß gene expression in pancreatic islet ß-cells.

H. Nakabayashi, Y. Ohta, M. Yamamoto, Y. Susuki, A. Taguchi, K. Tanabe, M. Kondo, M. Hatanaka, Y. Nagao, and Y. Tanizawa.

Biochem. Biophys. Res. Commun. 434, 370-375, 2013.                

 

 時計遺伝子は膵β細胞機能の制御に関わるが、詳細な分子機構は不明である。我々は、糖尿病モデルマウスの膵ラ氏島で、時計遺伝子Dbpの発現減少とE4bp4の発現増加を見出した。一方、ARNTは膵β細胞機能にとって重要な遺伝子の一つで、2型糖尿病患者の膵ラ氏島で発現が低下し、膵β細胞特異的Arnt欠損マウスはインスリン分泌が低下する。 

 野生型マウスの膵ラ氏島ではDbpおよびE4bp4の発現は明確な概日リズムを示し、Arntの発現も微弱ながら概日リズムを示した。糖尿病モデルマウスの膵ラ氏島では、Zeitgeber Time 12時において、DbpArntの発現が減少し、E4bp4 の発現が増加していた。培養細胞での過剰発現実験、レポータージーンアッセイおよびChIPアッセイで、膵β細胞においてDBPとE4BP4はArntのプロモーター領域に直接結合し、その発現を制御することが示された。ARNTが時計遺伝子群と膵ß細胞機能を関連付ける可能性を示唆する。