角膜線維芽細胞におけるPoly(I:C)よるNF-κB 及びIL-1βを介したMPP発現制御(眼科学分野)
Up-regulation of matrix metalloproteinase expression by poly(I:C) in corneal fibroblasts: role of NF-κB and interleukin-1β
K. Kimura, T. Orita, Y. Kondo, H. Zhou, and T. Nishida. Invest Ophthalmol Vis Sci., 51, 5012-5018, 2010.
ウイルス感染が角膜実質に波及すると角膜潰瘍を生ずる。その病態は,I型コラーゲンが主体である角膜実質の融解によると考えられる.そこで,Poly(I:C)[ウイルスRNAの合成アナログ]を用いて角膜実質に局在する角膜線維芽細胞における蛋白分解酵素マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の発現及びその発現機序を検討した.その結果MMP-1,3の発現が濃度依存性に亢進した。一方,MMP-2,-9の発現は影響を受けなかった。さらに, Poly(I:C)により濃度依存性にIL-1βの発現,分泌が亢進し,このIL-1βのオートクラインあるいはパラクライン機構により, NF-κBを介してMMP-1,3の発現が制御されていた。Poly(I:C)によって角膜線維芽細胞は,蛋白質分解酵素であるMMP-1及びMMP-3を発現し角膜実質融解に重要な働きをしている可能性が示唆された。