内温動物である哺乳類と鳥類の発熱調節機構の仕組みの違いを解明(医化学分野)
R. Prakasam, M. Fujimoto, R. Takii, N. Hayashida, E. Takaki, K. Tan, F. Wu, S. Inouye, and A. Nakai. Chicken IL-6 is a heat-shock gene. FEBS Lett. 587, 3541-3547, 2013.
内温動物である哺乳類と鳥類は、大量のエネルギーを消費することで、様々な環境温度の中で相対的に高い体温をおよそ一定に維持している。哺乳類では、微生物感染や病気に反応して、IL-6を含む発熱性サイトカインの誘導を介して発熱反応が生じる。我々はこれまでに、熱ストレスによって活性化されるHSF1がIL-6の誘導を抑制する仕組みを明らかにしたが、この分子機構は発熱が病気の予後に良い影響を与える一因であると考えられる(Takii et al, J. Immunol. 2010)。より高い体温に保たれている鳥類においても、IL-6が主要な発熱性サイトカインである。今回、我々は、鳥類のIL-6は熱ショックにより顕著に誘導されることを明らかにした。高温環境下での鳥類の発熱反応は有害なまでに極端に増強されることが知られており、鳥類に特徴的なこの発熱反応がIL-6 の熱誘導に起因することが推測された。一連の研究は、HSF1が、進化の過程で発熱・炎症反応制御に重要な生理的役割を担ってきたことを強く示唆しており、人為的なHSF1活性化が感染症等の病気の予後を改善する可能性がある。