脂肪酸結合タンパク質FABP5は、皮脂腺細胞の成熟や皮脂の生合成に関与する (器官解剖学―皮膚科学)

Reduced size of sebaceous gland and altered sebum lipid composition in mice deficient in the fatty acid-binding protein 5 gene.

Sugawara, T., Nemoto, K. Tokuda, N., Adachi, Y., Yamano, N., Muto, M., Okuyama, R., Sakai, S. and Owada, Y.

Exp. Dermatol., 21, 543-546, 2012.

  表皮細胞内・外の脂質環境は、表皮細胞の分化誘導や水バリアなどの機能発現において、重要な役割を担っています。皮脂腺から分泌される皮脂は、皮膚の保湿という美容的側面以外に、感染症・有害物質に対するバリアとしての側面も持っています。しかし皮脂腺細胞の増殖や分化機構、さらには皮脂の主要な成分である脂肪酸の役割については未だ分かっていません。

 本研究では、分化した皮脂腺細胞に非常に強い発現が見られる表皮型脂肪酸結合タンパクFABP5に着目しました。FABP5欠損マウスでは皮脂腺の大きさが有意に減少する一方、皮脂量は増加し、皮脂を構成する脂質組成にも変化が認められました。さらに皮脂細胞分化に重要な役割を果たす細胞内レチノイン酸結合タンパク質CRABP2の発現がFABP5欠損マウスで増加していました。これらの結果から、FABP5は皮脂腺細胞の成熟や皮脂生合成の制御を、レチノイン酸シグナル経路を介して行っていることが示唆されました。FABP5を介した皮脂腺活性の制御に着目することによって、皮脂に関連した美容や感染など研究が進展することが期待されます。