気分障害患者と低酸素誘導因子の活性の関連を解明(高次脳機能病態学分野)

Shibata T, Yamagata H, Uchida S, Otsuki K, Hobara T, Higuchi F, Abe N, Watanabe Y.

The alteration of hypoxia inducible factor-1 (HIF-1) and its target genes in mood disorder patients.

Prog. Neuropsychopharmacol. Biol. Psychiatry., in press.

 気分障害患者の末梢血白血球における低酸素誘導因子1(HIF-1)とそのターゲット遺伝子のmRNA発現について、定量的リアルタイムPCR法を用いてうつ状態と寛解状態で比較した。対象は山口大学医学部附属病院精神神経科に入院および通院中で気分障害と診断されたうつ状態の患者32名(うつ病20名、双極性障害12名)、寛解状態の患者72名(うつ病39名、双極性障害33名)。うつ状態ではHIF-1α、HIF-1β、VEGF、PFKFB3 mRNA発現量がうつ病患者群、双極性障害患者群ともに健常者群と比べ有意に高く、GLUT1、PGK1、LDHA mRNA発現量はうつ病患者群のみ健常者と比べ有意に高かった。寛解状態ではHIF-1αとLDHAのみうつ病患者群でmRNA発現量が有意に高かった。本研究により、末梢血白血球のHIF-1とそのターゲット遺伝子のmRNA発現変化が気分障害患者におけるバイオロジカルマーカーとなる可能性が示唆された。