血液神経関門の生物学と免疫介在性ニューロパチーでの血液神経関門改変(神経内科学分野)
Takashi Kanda. Biology of the blood-nerve barrier and its alteration in immune-mediated neuropathies.
J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry 84, 208-212, 2013.
血液神経関門(blood-nerve barrier, BNB)は、末梢神経実質と血液成分を隔てて末梢神経に必要な成分を選択的に供給し、不要物を排泄する重要なインターフェースである。しかし、中枢神経系のバリアーである血液脳関門(blood-brain barrier, BBB)と比較すると、BNBの細胞生物学に関する知識は大きく立ち遅れているのが現状である。本総説論文では、BNBの基本的構造と機能、BNB構成細胞の細胞生物学の現況を述べたのち、自己免疫性末梢神経障害でのBNB破壊メカニズムに焦点を当てて最近の知見を紹介した。当教室では、世界に先駆けてヒトBNB構成細胞株を樹立した。この細胞を用いることによりBNBに関する新たな知見は次々と蓄積されている。BNBの分子細胞学をバックグラウンドとした、新たな難治性末梢神経障害治療法開発への挑戦についても併せて述べる。