HSF1は胎児脳の環境ストレス適応に重要で、神経•精神疾患と関連している(米国イェール大学−医化学分野)

 K. Hashimoto-Torii1, M. Torii, M. Fujimoto, A. Nakai, R. El Fatimy, V. Mezger, M. J. Ju, S. Ishii, S. Chao, K. J. Brennand, F. H. Gage, and P. Rakic.

Roles of heat shock factor 1 in neuronal response to fetal environmental risks and its relevance to brain disorders.

Neuron 82, 1-13, 2014.

 胎児期の環境ストレスへの暴露はその後の神経•精神の異常をひき起こすが、その分子機構は十分に明らかにされていない。今回、米国イェール大学の鳥居和恵博士らは、山口大学医化学分野と共同で、アルコール、メチル水銀、母親のてんかんなどのストレスに曝された胎児の脳でHSF1が活性化されていることを明らかにした。HSF1欠損は、脳の構造異常および生後のてんかんの頻度を高める。さらに、ヒト統合失調症の患者から得られたiPS細胞ではHSF1活性化レベルがより多様であることを示した。以上の結果から、HSF1が胎児の環境ストレス適応に重要な役割を担っており、生後の神経•精神疾患の病態の中心的な因子であることを提案する。