卵巣子宮内膜症性嚢胞のゲノムワイドDNAメチル化プロファイル解析(産婦人科学分野—医化学分野)
Y. Yamagata, K. Nishino, E. Takaki, S. Sato, R. Maekawa, A. Nakai, and N. Sugino.
Genome-wide DNA methylation profiling in cultured eutopic and ectopic endometrial stromal cells. PLoS One 9, e83612, 2014.
子宮内膜症におけるDNAメチル化異常の関与を調べるため子宮内膜間質細胞のゲノムワイドDNAメチル化プロファイルを得ることを目的とした。内膜症を有さない、または内膜症を有する患者の子宮内膜から分離培養した子宮内膜間質細胞(euESCa/euESCb)、卵巣子宮内膜症性嚢胞壁から分離培養した間質細胞(choESC)をサンプルとして用いた。HumanMethylation27、GeneChipによりメチル化解析、トランスクリプトーム解析をそれぞれ行った。DNAメチル化解析における階層クラスター解析ではchoESC群のみが異なるクラスターに分類された。euESC-choESC間の比較では、多くの遺伝子のCpGメチル化に差異が認められ、特に性ステロイド合成に関与する遺伝子 (NR5A1, STAR, HSD17B2, STRA6)について、多検体を用いたDNAメチル化解析、発現解析に関する確認実験を行った。一方、euESCa-euESCb間の比較では、ほとんど違いが認められなかった。本研究成果から性ステロイドホルモン産生を始めとする多くの遺伝子群のDNAメチル化異常、発現異常が子宮内膜症の病態に関与することが示された。