PDZRN3蛋白質による脂肪前駆細胞3T3-L1から脂肪細胞への分化の制御(分子薬理学分野)

Regulation of adipocyte differentiation of 3T3-L1 cells by PDZRN3

Takeshi Honda, Aiko Ishii, Makoto Inui
Am. J. Physiol. Cell Physiol. 304: C1091-1097, 2013

PDZRN3蛋白質は、蛋白質間相互作用に重要な役割を果たすPDZドメインを2つ有すると同時に、C末端にPDZドメイン結合モチーフを持つというユニークな構造をしている。PDZRN3は中胚葉幹細胞に多く発現しており、これまでに骨格筋への分化を促進的に、骨芽細胞への分化を抑制的に制御していることを明らかにして来た。中胚葉幹細胞は脂肪細胞へも分化するため、今回、脂肪前駆細胞である3T3-L1細胞を用いてPDZRN3の脂肪細胞分化への役割を解析した。その結果、PDZRN3は脂肪細胞への分化に際して、分化に重要な転写因子PPARγの発現を抑制していることが明らかとなった。さらに、そのメカニズムとしてPPARγの上流にあるSTAT5bの発現を制御していることが明らかとなった。即ち、脂肪細胞への分化では、PDZRN3は抑制的な因子として分化を制御していることが明らかとなった。