ペニシリンG誘発てんかんラットモデルにおいて局所脳冷却はてんかん放電の速波成分を抑制する(脳神経外科)

 Focal brain cooling terminates the faster frequency components of epileptic discharges induced by penicillin G in anesthetized rats.

Kida H, Fujii M, Inoue T, He Y, Maruta Y,Nomura S,Taniguchi K,Ichikawa T,Saito T,Yamakawa T,Suzuki M.

Clin. Neurophysiol.123, 1708-1713, 2012.

 ラットにおいて、てんかんモデルを作成し、局所脳冷却によりてんかん性放電および基礎脳波がどのように変化するのか脳波周波数解析法を用いて検討した。ラットを全身麻酔下にペニシリンGを運動感覚野に注入し、てんかん性放電を誘発した。その後同部を25℃、20℃、15℃に 5分間冷却し、てんかん性放電及び背景脳波の変化について周波数解析を用いて検討した。その結果25℃ではα帯域のみが、20℃ではα、β帯域、15℃ではδ、θ、α、β帯域すべてのパワーが有意に抑制された(p<0.05)。これらの結果は低温にするにつれ、温度依存性に速波成分から脳波周波数パワーが抑制されることを示している。20~25℃の冷却によりてんかん性放電を含む速波成分が抑制されることは、局所脳冷却により選択的にてんかん性放電のみが抑制できることを示唆している。以上より局所脳冷却はてんかんの新たな治療法としての潜在的可能性を秘めていることが示された。