脂肪酸結合タンパク質FABP5は、脂質代謝物13-HODEを介したNFk-Bシグナルを制御することによって、表皮細胞分化調節に関与する（器官解剖学分野ー皮膚科学分野）

E. Ogawa, Y. Owada, S. Ikawa, Y. Adachi, T. Egawa, K. Nemoto, K. Suzuki, T. Hishinuma, H. Kawashima, H. Kondo, M. Muto, S. Aiba, and R. Okuyama. 

Epidermal FABP (FABP5) Regulates Keratinocyte Differentiation by 13(S)-HODE Mediated Activation of the NF-kB Signaling Pathway. J Invest Dermatol., 131, 604-612, 2010.

 　表皮細胞内・外の脂質環境は、表皮細胞の分化誘導や水バリアなどの機能発現において、重要な役割を担っている。しかし、その分子機構については未だ不明な点が多い。

　本研究では、長鎖不飽和脂肪酸の細胞内シャペロンの１つである表皮型脂肪酸結合タンパク質(FABP5)が、n-6系必須脂肪酸であるリノール酸の表皮細胞への取り込みと、リノール酸代謝産物13-HODEによるNFk-Bシグナル制御を介して、表皮細胞分化に関与していることを明らかにした。

　ドライスキンや乾癬などの病態が、脂肪酸摂取と関連が深いことは、古くから知られていたが、今回の研究結果によって、これらの病態メカニズム解明が大きく進むことが期待される。