集合リンパ小節(パイエル板)における脂肪酸代謝に重要なFABP分子ファミリーの局在(器官解剖学分野)
R. Suzuki, MR. Nourani, S. Saino-Saito, H. Abe, T. Nochi, H. Kiyono, F. Spener, H. Kondo, and Y. Owada.
Localization of fatty acid binding protein of epidermal type common to dendritic cells and presumptive macrophages in Peyer's patches and epithelial M cells of mouse intestine. Histochem Cell Biol., 132, 577-584, 2009.
免疫系細胞をとりまく脂質環境は、樹状細胞の抗原提示能や、リンパ球の活性化に影響を及ぼすことが知られているが、生体内の免疫臓器における脂肪酸を介した制御機構の詳細は未だ不明である。本研究では、腸管粘膜防御において重要な役割を担う集合リンパ小節(パイエル板)において、脂肪酸の細胞内代謝に重要な役割を担うFABP分子ファミリーの局在を検討した。その結果、粘膜直下に存在する樹状細胞や、腸濾胞被蓋上皮内に存在するM細胞に、FABP5分子が局在することが明らかになった。M細胞は、腸管由来の細菌やウィルスを捕捉し、粘膜直下の樹状細胞へと抗原を渡すことによって、腸管の免疫応答を引き起こすことが知られている。本研究からFABP5が、腸管免疫応答においてM細胞と樹状細胞を介した抗原提示プロセスに関与している可能性が示唆された。